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捏島とかいう先輩よりも、鬱島とかいう先輩を目の敵にするのはただただ気にくわないとかという理由だけではない
「しかも、あれ絶対....！」
言いかけたところで口を噤む
隣のショッピが不思議そうにしているのは分かるが、それどころではなくただただ思い出す
あの時、あの男が持っていたのは確かに文化祭のチケットだった
どうやって手に入れたのか、あの回答が嘘か真かなんて知る由もないが、とりあえず姉さんに近づこうとしていることは明らかだった
こういう話題が出るたびに頬を染め、幸せそうに微笑む姉を見るのは確かに幸せではあるものの、捏島ならともかく鬱島が近づくのは話が違う
だが、確かにチケットだと認識したあの紙の裏側は白と黒しか見えなかった
つまりは印鑑が押されていないかもしれないのではないだろうか
てか二枚もあったが誰と行くのだろうか
「んー、いや、直接聞くか....？」
「何の話してんねん。」
「ちょっと考え中！」
今朝だってあの先輩が自らこちらに訪ねてきたのだ
向こうが忙しかろうがこちらが遠慮する必要はないだろう
「ショッピ、鬱島って何組だっけ？」
「捏島さんと同じだったはず、多分A組？」
「おっけー、突撃訪問するわ。」
「え、お前マジ？」
*
「え、やり返し？」
「さぁ？」
未だ居残っている人がぽつぽつといる二年A組の教室前
今朝とは逆転した立場で目の前の先輩に笑いかける
「何？」
「いや、先輩チケット持っていたでしょう？二枚。」
「欲しいん？」
「要らないです。」
即答すれば、猜疑の顔をする
てか持ってるし、とは声に出さず内に秘めておくが、どうせ"欲しい"と言ったところでもらえるわけがない
誰かと行くはずなのだ
大まかな予想はある
というのは鳥井、黄瀬、天乃だ
一瞬姉さんのこともあり捏島かと考えたものの、自ら他校の、それも女子校の文化祭にはいかなそうとしか思えなかった
「誰と行くんですか？」
「....それ知って君は何がしたいんや。」
「特には。」
探りを入れて姉に忠告を送りたいというのが完璧な答えだ
だが、知っても知らなくてもこの先輩が文化祭に行く時点で忠告はするので間違ってはいない
「ほーん、じゃあ塩戸君と何話してたん？答えによっては教えたるよ。」
「それこそ世間話ですよ、新入生特有のやつですけれど。あの先生はこうだとか、部活はこうだとか。」
「それじゃちょっとなぁ。」
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作者名：みつくろりん | 作成日時：2021年12月6日 0時
