【d!】可変に笑え (ページ14)

今日:17 hit、昨日:2 hit、合計:5,230 hit

１４　ut ページ14

.

　仕返しされてしまった今朝のことは、自分の失態を隠したいという願いの下自分の記憶から抹消されて放課後
今日の昼食はいろいろと厄介だったもので、久々にコネシマとだけでなくシャオロンやロボロとも共にしたのだが、その場にいたもう一人がいけなかった

　そのもう一人であるゾムは、最近の鬱憤晴らしにあろうことか友人である僕らを使ったのだ
逃れることは出来ず、促されるまま口内に次々と押し込まれる食を噛んでは飲み込んでを繰り返した
その結果、後の授業は破裂しそうな腹を抱え、苦痛を感じながら受けていた

　今もそれを引きづっているというのに、同じ状況に合っていたコネシマは夕礼終了直後にはなんとも無かったかのように元気よく部活に向かってしまった
同士だと思っていたのに、と彼には理不尽ではあるものの憾みを覚えていれば、「大先生。」と声をかけられる

　先ほどまで誰も教室にはいなかったし、誰かが入ってきたかも扉は全開になっていたため知らなかったが、聞きなれた声のお陰でその人物は容易に分かった

「マンちゃん？今日って生徒会あったっけ？」

「あるけど、俺らはいかんくて大丈夫やで。それより、これ。約束の奴な、希美の頼みで仕方なく、だからな？」

「分かってるって、今度奢ったるから。」

　溺愛している妹とどうやって連絡をとったのか
それを理解していたからか、若干血走った目で今にも殺さんばかりにこちらを見つめてくるオスマンに情けない声を出して一歩後ずさる

　「きも。」と一言呟けばため息をついて、手に持っていたものを机に置くと教室を出て行った
扉付近で一瞬立ち止まると、珍しく瞳を開いてこちらを向く

「え、なに？」

「....いや、ええわ。それより手ぇ出したら許さへんから。」

「アッ、ハイ！」

　何を言わんとしたのか気になったものの、念押しというようにかけられた忠告が思ったより冷たい声だった
ただのシスコンではないとは思っていたが、ここまでとは

　希美ちゃん曰く、兄妹関係としてあの重さなだけで恋愛に関してはあまり口出しはしないし、誰かとそれが発展したところで頑固親父ならぬ頑固兄貴みたいにはならないタイプとのことだったが

　震えてもいない二の腕を摩りながら脳内で考えていると、日頃の行いだろう、呆れたように言う何人分かの聞きなれた声が聞こえてくるような気がした