【 東リべ 】オレの馴染みのヤツ

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まだ妹が産まれる前

父親も家に帰ってきていたし
おふくろも今よりもオフが多く、俺をちゃんと面倒見てくれていたと思う


俺はまだちっさいガキで、守るものも大切にするのも分からなかった。そんな冬の日。






「 隆、こっち来て 」



おふくろの見よう見まねで自分の体以上のサイズもあるバスタオルを畳んでいた時だった。

玄関で誰か知らない女の人と話していたおふくろがいつもと同じ声で俺を呼んだ。




「 こちらお母さんのお友達。と、娘さんのAちゃん。
今日から隣の部屋に越してきたから仲よくしてね。」




タオルを持ちながら見上げた、初めましての女の人。

なんか、疲れてそー

なんてのが第一印象で、その人の足にしがみついてる “ A ” と呼ばれた女の子は脅えているのか寒いのか、小刻みに震えている。

よく見ると、その女の子は素足にサンダルしか履いていなかった。



こんな真冬に。サンダル？
部屋にずっといた俺でも寒いのに、この子にしたらもっと寒いじゃん。

俺は手元にある歪に畳まれたバスタオルとその女の子を交互に見て、そっと近寄った。






「 寒いの？これ、かけたら暖かいよ 」






俺よりも少しだけ小さかったその子は
驚いたように目を見開いて
頭にぶっきらぼうに掛けられたバスタオルをキュッと掴んでこう言った。







「 … あ、りがと。隆くん … 」





初めて目を合わせてくれた。

まん丸で、玄関のライトが反射しているその目には
俺がちゃんと写っていて。




それがコイツとの出会いの日









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