何回 ページ29
苛立ちを隠さずにまた舌打ちをしながらタバコに火をつける土方さん。この人は一日に何回タバコを吸い、何回舌打ちをし何回溜め息をつくのだろう。切実に気になった。今度数えて記録を教えてあげよう。そうしよう。
なんて嫌がらせにしか思えないことを考えながら私は再び青い絵の具を水に溶かしたような淡い色の空を仰ぐ。春の香りをのせた風が前髪を揺らす。もうすぐ、桃色の花が咲き誇る季節がやってくる。……懐かしい風景を、思い出させる。
(……あの時の、銀色は…)
…見回りをしがてら甘味処に土方さんと立ち寄った日。団子を食べながら、昔の記憶に思いを馳せながらに窓の外を眺めていた私。一日を必死に生きるように歩を進めていく江戸の人々を見送っていた時に、ふと視界を横切った銀色に、見覚えがあるような気がしていて、あの色が忘れられなくて。
……懐かしい、あの色を今日もまた思い浮かべていた。
(…ま、そんな偶然、ある訳がないよね)
世間はそんなに狭くはない。アイツなはずがないのだ。そう思うのに、脳裏にはあの銀色が甦る。
町行く人が皆懸命に毎日を生きているように歩いているというのにその銀色は何処か気だるそうに無気力に歩いていて。……面影がありすぎた。
土「……て、…お前聞いてんのか」
「へ、…あ、あれ…?」
と、横に立つ土方さんを見上げてみると何かを話していたのだろう、でもそれを全く聞いていなかった私へと遠慮のない怒気を放ってくる。あれ、やっちった?と思い、「あはは…」と愛想笑いを浮かべれば。
土「…はぁ……ダメだ。こんなことに体力を使うな…」
まるで自分に言い聞かせるように眉間に手を当てて呟く。怒鳴られるかと思い、少しだけ気をはっていたのでひとまず安堵した。怒鳴られたらどう切り抜けようとしか考えていないけど。つまり、反省はしない。
上司にも関わらずそんなことを思える私は相当太い神経をしてるんだろうな、なんて他人事のように思いながらトッポをポリポリと食べた。
土「…お前も知ってる通り、最近江戸中のガキが誘拐される事案が起きてる」
その言葉に、ピクリと思わずしてしまう。そう。ここ最近で最も問題視されている件。
土「その中には幕臣のガキもいるとかなんとかって話らしい」
「…幕府の人の子供が、拐われたということですね」
土「あぁ」
幕府の上の連中の子供を狙うということは、普通の誘拐犯ではなく、
「…過激派攘夷浪士」
土「…の犯行だと睨んでいる」
静かに落とされる声に、何処かで鳴く鳥の呑気なさえずりが重なる。
銀魂!ラッキー食べ物オオオ!!
卵かけられご飯
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パエリヤさん - やばい…やばいです…めっちゃ面白いです… (2021年11月6日 17時) (レス) @page48 id: cc2519b90c (このIDを非表示/違反報告)
ぽんち - すみません…結構前のでしたね…ごめんなさい。お気になさらず (2019年3月20日 18時) (レス) id: 4af8f25fc3 (このIDを非表示/違反報告)
ぽんち - 攘夷がじょういになっていますが、変換ミスでしょうか…?なにかの伏線であれは申し訳ないです!! (2019年3月20日 17時) (レス) id: 4af8f25fc3 (このIDを非表示/違反報告)
ピピコ - アカツキさん» あああ!!本当ですね!ご指摘ありがとうございます!!助かりました!!直しておきます!! (2017年5月9日 18時) (レス) id: 0ec549c041 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - 題名の【土方十四郎】の郎っていう字まちがっていますよ〜 (2017年5月9日 18時) (レス) id: 83b55b950f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ピピコ | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/pipiko1030/
作成日時:2017年3月22日 14時