2.S ページ2
「は…?ち、ちょっとアンタ誰っ…け、警察呼ぶぞ…」
俺は咄嗟に近くにあったテレビのリモコンを掴み男に向ける。大丈夫、向こうは自分より小柄な男だ。もし何かあっても体格差で勝てる。こう見えて結構鍛えてるんだぞ。身構える俺をよそにその男は何でもなさそうに言った。
「ところで名前、なんてぇの?」
拍子抜けた顔をしたのか男は面白そうにくくと喉を鳴らして笑うと 俺は大野智、と言った。
…いや、誰!? 俺の記憶のなかにそんな名前の男はいなかったはず…いたとしてもこんな佇まいに圧のある男は見たこともないはず。
「名前」
混乱に押し黙っていると男は痺れを切らしたのか再度催促した。
「…櫻井翔。」
ああもう。名乗るつもりなどなかったのに、自ら名乗られるとこちらも名乗らざるを得ない人の好さが出てしまった。しっかりしろ俺。
「翔くんか。いい名前だね。よろしく」
「よろ…しく?」
一体なにがよろしくなんだ。俺はまた狼狽える。
「そ。俺しばらくここに住むことにした」
え、え、何!?
何がどうなっているのでしょうか…?
呆気にとられた俺の前に男はコーヒーを差し出し、「とりあえず飲めよ」と勝手知ったる風に俺をダイニングテーブルの椅子に座らせた。
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作者名:Mia. | 作成日時:2019年1月16日 2時