【BL】家政夫を攻略するのは難しい【オリジナル】

三十六仕事 ページ38

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「うん。オーケー。いいよ。うん。それじゃ」

双葉は、通話を切った。
先程まで友人と電話越しに話していたのだ。

話の内容は、週末遊ぼうという誘いだった。
その誘いに双葉は淀むことなくすぐさま頷き、今に至る。

「誰だ？」

「あ、久世さん。おかえりなさい」

久世の声に双葉は振り向いた。
そこには仕事帰りのスーツ姿の久世が立っている。
そして、どこか不機嫌そうだ。

最近まともな機嫌の時がなくて困る、双葉はちらりと久世に対しそう思った。

「ああ。帰った。で、誰だ？」

久世は再び双葉に問う。

「誰、とは？」

双葉は、久世の問いについての内容を理解していなかった。
誰、と単語ひとつできかれてもこちらも誰、としか答える他あるまい。双葉は心の中で主語のない久世に文句を言った。

「先程していた電話の相手だ」

ああ。と双葉はやっと問いを理解する。
それと同時に何故そんなことをきくのか、と不思議になった。

「友達ですね。あ、週末休みもらっていいですか？」

「何故だ」

「友達と遊ぶ約束してて」

双葉がそう答えると、久世はしばらく黙った。

何か不味いことでも言ってしまっただろうか、と双葉が心配でオロオロし始めた時、許可は降りた。

「好きにしろ」

「ありがとうございます」

しかし久世は終始不機嫌そうだった。


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