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『左門くんっ、逃げて!』

「そんな、無茶です!」


……無茶な事くらい、分かってる。


いくら剣道の腕があろうと、この人数に対して一人、そして相手は本物の刀。

力で勝負するなんてのは、もっての外だ。


でも、それでも、今の私が咄嗟に思いつく選択肢なんて、戦うことしかない。

この世界を何も知らない私は、戦うことでしか、左門くんを守ることは出来ないのだ。



『ふんっ』


なるべく距離を詰めないように、竹刀の長さを利用して敵を一気に薙ぎ払う。

しかし、やはり全ては避けきれなかった。


「Aさんっ」

『……っ、平気!早く!』


……右肩に、焼けるような痛み。

けれどもう、ただ、無我夢中に私は竹刀を振り続ける。


「……やはり、逃げるなんて事、僕にはできません!」

『左門くん!』


私はもう一度名前を呼んだけど、左門くんが逃げる様子はない。

むしろ、懐から苦無を出して応戦し始めてしまった。


「ふっ!」

『……すごい』


やはり忍たまであるだけあって、実に鮮やかな手つき。

これなら勝てるかも……そう思ったその時、左門くんの背後で刀を振り上げる山賊が視界に入る。


「!?」



(……危ないっ!)


『させるかぁあっ!』


_その瞬間、全てがスローモーションのように見えた。


ふわり、と宙に飛ぶ竹刀。

私は勢い良く覆い被さって、驚いたような、呆気に取られているような、そんな左門くんの表情が目に映る。



……ああ、私、山賊にも負けちゃうのかな


「ここまでだな!」

『っ、』


想定される衝撃に備えて、思わず目をぎゅっと閉じる。

けれど、私の身体を劈いたのは痛みでは無く





「……ったく、ホントあなたってバカですね」



暗闇に火花を散らすような、金属音だった。


『えっ!?』


……とても、聞き覚えのある声。

呆気に取られていれば、左門くんがあっと声を上げる。


「綾部喜八郎先輩!?」


あやべ、きはちろう?


砂が舞ったからか火が大きく燃え盛り、辺りがますます明るく照らされる。

眩しそうに目を細めたその顔は、紛れもなく、落とし穴のあの人だった。


『えっ、えっ!?なんで!』


「なんでって、こっちが聞きたいですよ……後で拷問されますからね、あなた」



「クソッ、まだ仲間がいやがった!」


一方、山賊のリーダーは刃こぼれした刀を見て、恨めしげにこちらを見つめる。

更に、上の方からまた声が響いた。



「来てるのは、喜八郎だけじゃないぞ!」

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(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (4月16日 22時) (レス) id: f020fc6e38 (このIDを非表示/違反報告)
海鈴(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて本当に嬉しいです。また頑張りますね! (8月28日 20時) (レス) id: d23310e530 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 更新をずっとお待ちしていた作品なので本当に本当に嬉しいです…!!これからも、陰ながら応援させていただきたいです! (8月26日 8時) (レス) id: 17751e89f9 (このIDを非表示/違反報告)
海鈴(プロフ) - 麗羅さん» お久しぶりです、コメントありがとうございます!そうなんです……。あっちはいろいろ慣れなさすぎて、一時帰国ではなく日本にずっといたい位です笑更新頑張りますね! (8月24日 1時) (レス) id: d23310e530 (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - 更新ありがとうございます!海外留学中だったのですね……。すごいです!これからも応援しているので、作者様のペースで更新頑張ってください! (8月21日 22時) (レス) @page26 id: 5152279fe6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:海鈴 | 作成日時:2022年8月13日 22時

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