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「さあ、着いたぞ！」
心地よい風、地面には揺れる木漏れ陽。
鼻を通り抜ける、初夏の草木の爽やかな香り。
『……うっ、おええ、』
そしてこの清々しい森林の空気の中に響き渡るのが、私のえずき……というかもはや嗚咽。
もう、これで何回目なのか＿
この風景に全く相応しくないのも、人前で下品なのも分かっている。
しかし、空中では流石にまずいとギリギリ我慢していたからか、地上に下ろされてからはもう吐きっぱなしなのだ。
「なんだなんだ、これくらいでバテるのか？」
さて、そんな可哀想な私の目の前で笑っているこの男。
突然担がれたかと思えば、木から木へ跳び移り、視界は反転して、この人のおかげで私の三半規管はもうボロボロなのだ。
七松小平太。
そう名乗るこの人は六年生で、なんと伊作さん達と同じ六年生だという。
『人一人抱えてあんなに跳びまくって平気なあなたがおかしいんですよ！』
「これくらいは造作もない、いけいけどんどんだ！天女、お前の場合は鍛錬が足りてない証拠だな！」
『なっ、』
"鍛錬が足りていない"
とまあ、割と辛辣な事を満面の笑みで言い放たれ、私は思わず狼狽える。
ずっと、自分なりではあるが剣道を頑張ってきた私にとって、その言葉は不本意というか……なんとなく不服だった。
しかしよくよく考えてみれば、忍者でもない現代人の私が空中移動でバテないなんて無理な話な気もしてくる。
(ただ、このまま鍛錬不足なやつだと思われるのもなぁ……)
……それはそれで、悔しい。
そう思った私はなんとかして分かってもらおうと、七松さんに向かって口を開いた。
『いや、だから私は』
「あーあ。長次や留三郎から大したやつだと聞いていたが、なんだこんなものか」
『……！』
つまらん＿
そう期待外れのように息をつく七松さん、私は吐くのをやめて思わず立ち上がる。
……まただ、このモヤモヤした感じ。
"私はただ見ていることしかできないのかな"
"もっともっと、強くなれたら"
前に山賊と戦う五年生や六年生の姿を見て感じた、あの気持ち。
確かに、今の状況は全く理不尽だし意味わからないけど、ここで引き下がるのは絶対に嫌だと思った。
「まあ、天女だから期待はしてなかったし気にするな！」
『……ちょっと待ってください』
もう一度私を抱えようとする七松さん、私はその手を思い切り振り払う。
七松さんは一瞬驚いたような表情をしたが、不敵な笑顔を浮かべた。
続く (更新停止中)
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凛(プロフ) - 更新楽しみにしてます！ (4月16日 22時) (
レス) id: f020fc6e38 (このIDを非表示/違反報告)
海鈴(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて本当に嬉しいです。また頑張りますね！ (8月28日 20時) (レス) id: d23310e530 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - 更新をずっとお待ちしていた作品なので本当に本当に嬉しいです…！！これからも、陰ながら応援させていただきたいです！ (8月26日 8時) (レス) id: 17751e89f9 (このIDを非表示/違反報告)
海鈴(プロフ) - 麗羅さん» お久しぶりです、コメントありがとうございます！そうなんです……。あっちはいろいろ慣れなさすぎて、一時帰国ではなく日本にずっといたい位です笑更新頑張りますね！ (8月24日 1時) (レス) id: d23310e530 (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - 更新ありがとうございます！海外留学中だったのですね……。すごいです！これからも応援しているので、作者様のペースで更新頑張ってください！ (8月21日 22時) (レス) @page26 id: 5152279fe6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海鈴 | 作成日時：2022年8月13日 22時
