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Aside
『これがあで、これが……お？だから、こことここを繋げて……』
＿図書室の一件から、数日。
怪我もだいぶ快方に向かってきたものの、鬼の伊作さんから依然作業許可が出ない私は、とりあえず文字の勉強を続けている。
少し大袈裟なんじゃないかとも思うけど、伊作さんは怪我のことになるとめっぽう怖くなるので、反論は出来ない。
「あー、間違えみっけ」
ふと、頭上から聞こえる間延びした声に私は顔を上げる。
『え』
「ここ、お、じゃなくて"め"ですよ」
私はもう一度その部分を確認し、思わずあっ、と声を上げた。
一方、その声の主は済ました顔で、私が出してやったお茶をのんびりと啜る。
『なるほど……って、喜八郎！教えてくれたら勉強にならないじゃん！！』
ちなみに声の主は、先程から私の部屋でお茶とお菓子を楽しんでいる、四年い組の綾部喜八郎だ。
人が勉強してる横でお菓子なんて食べちゃって……しかも先に答え言ってくるし！！
思わず頬を膨らませて怒る私に対し、喜八郎はえーでも、と饅頭を口に放り投げる。
「その遅さだと普通に日が暮れちゃいますけど」
『そ、そんなことない！喜八郎こそ、何で最近毎日来るの』
……そう。
あの図書室の日から、喜八郎は「同室に追いかけられて」とか、「饅頭持ってきた」とか、何かと理由をつけて毎日私の部屋で寛いでいる。
私の問いに、喜八郎は飄々と答えた。
「いやあ、僕はただ親交を深めようと思って」
『本当は？』
「まあ、絶好のサボり場所というか……あ」
『あ、じゃないわ！本音出ちゃったよ！！』
バレたかーと、一ミリも悪びれのない喜八郎。
そんな喜八郎を軽く小突きながら、私は本心で、実はほんのちょっと安心していた。
……この前のこと。
未来が見えてしまった、あの謎の力。
結局あの日から、何かが見えることは無いけど……不安な気持ちは否めない。
やっぱり、一人になればどうしても深く考えてしまう。
だからこそ、喜八郎がいてくれて……一人じゃなくて、本当は、かなり嬉しいのだ。
でも、そんなこと、女々しいし恥ずかしくて言える筈がない＿
そんなことを考えていれば、喜八郎がふと、動きを止めた。
目線を襖に向け、ぽつりと呟く。
「……来てる」
『え？……っ！！』
＿その刹那、壊れるような勢いでガラリと襖が勢いよく開いた。
呆気に取られる私達の前で、その人物は、声を上げる。
「いけいけどんどん！」
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凛(プロフ) - 更新楽しみにしてます！ (4月16日 22時) (
レス) id: f020fc6e38 (このIDを非表示/違反報告)
海鈴(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて本当に嬉しいです。また頑張りますね！ (8月28日 20時) (レス) id: d23310e530 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - 更新をずっとお待ちしていた作品なので本当に本当に嬉しいです…！！これからも、陰ながら応援させていただきたいです！ (8月26日 8時) (レス) id: 17751e89f9 (このIDを非表示/違反報告)
海鈴(プロフ) - 麗羅さん» お久しぶりです、コメントありがとうございます！そうなんです……。あっちはいろいろ慣れなさすぎて、一時帰国ではなく日本にずっといたい位です笑更新頑張りますね！ (8月24日 1時) (レス) id: d23310e530 (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - 更新ありがとうございます！海外留学中だったのですね……。すごいです！これからも応援しているので、作者様のペースで更新頑張ってください！ (8月21日 22時) (レス) @page26 id: 5152279fe6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海鈴 | 作成日時：2022年8月13日 22時
