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「暗くなるし、どうしようかと……でも、天女さまが左門を助けて下さったと食満先輩から伺って……とても、安心したんです」
ひとつ、またひとつと、まるで紡ぎ出すようにゆっくりと語る作兵衛くん。
その話を聞いていれば、作兵衛が左門くんをとても大切に思っていることが分かって、微笑ましい気持ちになった。
そして、同じくらい嬉しい気持ちが溢れてくる。
(……本当に、あの時追いかけてよかった)
『今日は、それを伝えに来てくれたの？』
私の問いに、二人は頷く。
さらに、顔を見合わせてから、今度は左門くんが懐から何かを取り出した。
『ん？』
薄い紙に包まれたそれを受け取って、私は首を傾げる。
とりあえず言われるがままに紙を開いてみると、ピンクと白のグラデーションがかかった、小さくて可愛らしい花が姿を現した。
『わあ、かわいい！』
私は思わず歓声を上げる。
作兵衛くんは気恥ずかしそうに、視線を逸らした。
「これは、お見舞いで……た、大したものじゃないんですけど」
お見舞い……つまり、私の為に？
思いもしなかった事に驚いていると、左門くんが満面の笑みを浮かべた。
「裏山で摘んできました！さくら草です！」
『さくら草…』
聞いたことがある。
現代にも咲いている花だし、きっと日常でも見たこともあったのだろう。
それでも、今もらったさくら草は、今までに一度も見たことがないくらい綺麗に見えた。
それが示すのは……私の、嬉しい気持ち。
『！』
感極まって、私は勢いよく顔を上げる。
目が合えば二人は何を思ったのか、あたふたと落ち着きがなくなった。
「え、えっと」
「は、花なんてやっぱりいらないですよね」
『……うんん』
(いらなくなんて、ない)
目を閉じて、首を大きく横に振る。
不安げな表情の二人に私は微笑んで、花を胸にぎゅっと抱きしめた。
『ありがとう、すっごく嬉しい…』
.
.
.
＿二人が帰った後。
再び二人きりになった私と立花さんは、文字の本の残ったページをなんとか全て終わらせて、片付けをしていた。
「その花、どうするのですか？」
『え？』
立花さんの問いかけに、私は手元の花に視線を移す。
少しだけ考えて、私は口を開いた。
『押し花にします！』
「押し花？」
立花さんは首を傾げる。
私は頷いた。
『はい！そしたらずっと……、っ！？』
"枯れない"
そう言いかけて、私は口を噤む。
突然、言い表せない痛みが右目に走った。
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凛(プロフ) - 更新楽しみにしてます！ (4月16日 22時) (
レス) id: f020fc6e38 (このIDを非表示/違反報告)
海鈴(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて本当に嬉しいです。また頑張りますね！ (8月28日 20時) (レス) id: d23310e530 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - 更新をずっとお待ちしていた作品なので本当に本当に嬉しいです…！！これからも、陰ながら応援させていただきたいです！ (8月26日 8時) (レス) id: 17751e89f9 (このIDを非表示/違反報告)
海鈴(プロフ) - 麗羅さん» お久しぶりです、コメントありがとうございます！そうなんです……。あっちはいろいろ慣れなさすぎて、一時帰国ではなく日本にずっといたい位です笑更新頑張りますね！ (8月24日 1時) (レス) id: d23310e530 (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - 更新ありがとうございます！海外留学中だったのですね……。すごいです！これからも応援しているので、作者様のペースで更新頑張ってください！ (8月21日 22時) (レス) @page26 id: 5152279fe6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海鈴 | 作成日時：2022年8月13日 22時
