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『と、トシちゃんじゃなくてあなたを探してたんです!』

「まあ、そうでしょうね」



話がある、そう伝えれば綾部さんは驚いたような顔をした。


とりあえず落とし穴から離れ、長屋の縁側のようなところに二人で腰掛ける。


私は、あの、と話を切り出した。



『……ありがとうございました、助けてくれて。あの時綾部さんが来てくれなかったら、大変なことになってました』


「そのことですか。別にあれは……通りかかって、偶然」


…そうくると思った。

偶然、この人はいつもこの手の言葉を使う。


でも、本当に偶然なんだろうか。

たとえ偶然だとしてもこんなに親切にしてくれるのは、なぜ?


私は心の中でそう呟き、ついに意を決して口を開いた。


『……あの、どうしていつも私を助けてくれるんですか?忠告もしてくれたし、竹筒とかも』


「……。」


それまで表情の変わらなかった綾部さんは、ピクリと眉を動かす。



「それは」


『見かけたから……は無しです』



今度は分かりやすく目を見開いた綾部さん。

私はただ、彼の顔を真っ直ぐに見つめる。


暫しの沈黙の後、綾部さんは大きく息をついた。


「……僕はある方から指示されて、貴方を監視していました」

『か、監視!?……むぐっ』


予想外の答えに思わず声をあげれば、綾部さんは聞いてくださいと私の口を塞ぐ。

綾部さんは、言葉を続けた。



「天女なんて興味なくて、僕は言われた通りに動いてました。けれど、あの夜……初めてあなたと接触した日、考えが変わりました」


……あの夜といえば、初めて会ったあの日のことだろう。

私が綾部さんの落とし穴にはめられた、あの日。

でも、なんで……心当たりが無く、私は首を傾げる。


綾部さんは下を向いて、小さく微笑んだ。


「驚きました、こんな天女もいるのかと。それで話すうちに、貴方に……天女ではないあなた自身に、僕は興味を持った」

『綾部さん……』


……そうか。

本当に、誰よりも先に私自身を見てくれていたのは、綾部さんだったのかもしれない。

私自身を見て、それで、助けてくれた。

そう考えると、胸がいっぱいになる。


「……とまあ、これが僕があなたを助ける理由です。どうです、満足しました?」

『あ、綾部さん!』

「えっ!?は、ちょ!」


気持ちが高揚して、私は思わず綾部さんの両肩を掴んだ。

顔と顔が近づくけど、そんなことは関係ない。


私は、勢いのまま言い放った。


『お友達になりませんか!?』

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(プロフ) - 更新楽しみにしてます! (4月16日 22時) (レス) id: f020fc6e38 (このIDを非表示/違反報告)
海鈴(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます!そう言っていただけて本当に嬉しいです。また頑張りますね! (8月28日 20時) (レス) id: d23310e530 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 更新をずっとお待ちしていた作品なので本当に本当に嬉しいです…!!これからも、陰ながら応援させていただきたいです! (8月26日 8時) (レス) id: 17751e89f9 (このIDを非表示/違反報告)
海鈴(プロフ) - 麗羅さん» お久しぶりです、コメントありがとうございます!そうなんです……。あっちはいろいろ慣れなさすぎて、一時帰国ではなく日本にずっといたい位です笑更新頑張りますね! (8月24日 1時) (レス) id: d23310e530 (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - 更新ありがとうございます!海外留学中だったのですね……。すごいです!これからも応援しているので、作者様のペースで更新頑張ってください! (8月21日 22時) (レス) @page26 id: 5152279fe6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:海鈴 | 作成日時:2022年8月13日 22時

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