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「…あれ、そういえば喜八郎は？」
＿暫しの沈黙。
タカ丸の問いに、喜八郎の同室である滝夜叉丸は笑いながら答える。
「はは、何言ってるんですかタカ丸さん！喜八郎ならばここに…」
「ここに？」
タカ丸は、首を傾げた。
「え、ええ」
なあ、と声を掛けたその先。
さっきまではその場所にいた喜八郎が、そこにはいなかった。
「っていない！……はぁぁあ！？」
「いつの間に！？」
守一郎と三木ヱ門は驚いたように辺りを見回す。
「どこに行ってしまったのだ…あのバカーっ！」
＿滝夜叉丸の素っ頓狂な声が、学園に響いた。
「全く、あのおてんば娘……」
一方、その喜八郎はというと。
日没が迫る森の中、珍しく表情に焦りを浮かべて、木の上を飛び回っていた。
勿論、彼に天女捜索の許可や命令などは出ていない。
見つかってしまえばかなりまずい、完全な独断と専攻だった。
ではなぜ、ここまでリスクを冒して彼女を探すのか。
……それは、最悪の事態を避ける為だ。
"天女が脱走した"
この話を聞いたその時点で、喜八郎はAが本当に脱走しようとして外に出た訳ではないと察した。
勿論、竹刀を振り回すくらいにおてんばである彼女ならやりかねないとも思う。
しかし同時に、彼女が誰かの為にやったのではないか……そう、なんとなく感じたのだ。
もしそうであれば、いち早く誤解を解かなくてはならない。
いくら殺傷が許されてなかろうと、感情的になってしまえば万が一のこともある。
「あっちも見てみるか」
完全に暗くなってきた事に気づき、小さく息をつく。
助走をつけ、さっきよりも高く跳躍した。
.
.
.
Aside
『すごい！火がついたね』
暗闇に暖かい光が灯り、私は思わず歓声をあげる。
私達はもう闇雲に歩くよりも救助を待つ方が早いと判断し、斜面が緩やかなところでとりあえず待機をする事にした。
左門くんは恥ずかしそうに頬をかく。
「いや、全然！大した事ないですよ」
……いやいや、大したことある。
私は燃料となる枝を火に投げ入れ、左門くんに問いかけた。
『火の付け方なんて、どこで習うの？』
「まあ知識として学園でもやりますけど、僕の場合は委員会ですかね」
『委員会？』
「ええ。まだ委員会に訓練があった頃、委員長に教えてもらいました」
……まだ訓練があった頃、という言葉。
話をする左門くんの横顔は、なんとなく切なそうに見えた。
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凛(プロフ) - 更新楽しみにしてます！ (4月16日 22時) (
レス) id: f020fc6e38 (このIDを非表示/違反報告)
海鈴(プロフ) - 桜さん» コメントありがとうございます！そう言っていただけて本当に嬉しいです。また頑張りますね！ (8月28日 20時) (レス) id: d23310e530 (このIDを非表示/違反報告)
桜(プロフ) - 更新をずっとお待ちしていた作品なので本当に本当に嬉しいです…！！これからも、陰ながら応援させていただきたいです！ (8月26日 8時) (レス) id: 17751e89f9 (このIDを非表示/違反報告)
海鈴(プロフ) - 麗羅さん» お久しぶりです、コメントありがとうございます！そうなんです……。あっちはいろいろ慣れなさすぎて、一時帰国ではなく日本にずっといたい位です笑更新頑張りますね！ (8月24日 1時) (レス) id: d23310e530 (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - 更新ありがとうございます！海外留学中だったのですね……。すごいです！これからも応援しているので、作者様のペースで更新頑張ってください！ (8月21日 22時) (レス) @page26 id: 5152279fe6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海鈴 | 作成日時：2022年8月13日 22時
