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「はい、おまちどう」
『わぁああ……すごい、本当に肉じゃがだ』
お椀いっぱいに盛られたご飯にお味噌汁、そして……
なんと、肉じゃが。
白い湯気が立ち上り、ほのかに出汁の香りがするそれに、私は思わず身を乗り出す。
ハンバーグがあるのならもしかして……とダメ元で頼んでみたところ、おばちゃんは当たり前のように肉じゃがを出してくれた。
「あらまあ！肉じゃがくらいよくお昼ごはんに出してるわよ。珍しい？」
『いや、そういう訳ではないんですけど……』
色々、衝撃的すぎて。
部屋に戻ったら、スクバから日本史の資料集を出して室町時代の食事のページを丸々書き直したい。
ハンバーグとかエビフライなんて、多くの人はこの時代には存在しないと思っているだろう。
「ほら、冷めないうちに」
『あ、はい！』
おばちゃんに勧められ、私は箸を取る。
なんだか無性にお腹が空いてきて仕方がなかった。
『いただきます！』
……まずはやっぱり、大好きな肉じゃがから。
箸を伸ばして、ほろほろに煮込まれたじゃがいもを口に入れたその時＿
『……！』
私は、思わず絶句した。
……すごく、おいしい。
味も染みてるし、お肉も良い肉だ。
でも、本当に、おいしいんだけど……
『っ、』
それ以上に、強く、私の頭を占めるものがある。
"はいA、これお弁当。今日の夕飯は肉じゃがだから、勉強頑張るのよ！"
"今日は部活？……そう、大会もうすぐだもんね、お母さん張り切って応援しちゃう！"
ずっと、考えないようにしていたのに。
それでも、どうしても、思い出してしまうのは……
お母さんのことだ。
「どう？お口にあうかしら」
『は、はい』
なんで今、そう心の中で呟く。
何か熱いものが込み上げてくる気がして、私は歯を食いしばった。
「あら、どうかした？」
『っ、いえ、』
＿今日は肉じゃがだと、私の背中を押したお母さん。
傘を持っていくんだよと、スマホの画面で天気予報を見せてくれたお父さん。
そういえば、部活が一緒のあの子と、新しいカフェに行く約束もしていた。
私、急に居なくなっちゃって……
みんな、心配してるんじゃないかなあ。
『あ……』
一口、また一口と箸を運ぶ為に、凍りついていた心が少しずつ解けていく。
……駄目、だめ
そう思っても、今までの色んな感情が、一気に溢れて……
『うっ、』
瞼がぐっと重くなる。
頬を、暖かいものが伝った。
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海鈴(プロフ) - 麗羅さん» わぁあありがとうございます！性格についてはかなり考えたので、そう言って頂けて嬉しいです。頑張ります！ (2022年1月28日 18時) (
レス) id: 7471f44b15 (このIDを非表示/違反報告)
麗羅(プロフ) - コメント失礼します！すごく面白いです！夢主ちゃんが剣道が得意で明るい性格っていうのがすごく好きです！更新楽しみにしています！ (2022年1月27日 22時) (レス) @page2 id: 90634de060 (このIDを非表示/違反報告)
海鈴(プロフ) - みこちさん» ありがとうございます！ (2022年1月14日 22時) (レス) id: 7471f44b15 (このIDを非表示/違反報告)
みこち(プロフ) - 海鈴さん» もしも、この作品にゲストが出るとしたら、雑渡さんか兵庫水軍の皆さんが現れてくださったら…なんて考えてしまいます。応援します！ (2022年1月13日 12時) (レス) id: e0b3c2b120 (このIDを非表示/違反報告)
みこち(プロフ) - 海鈴さん» 後も一つ、犬夜叉と鬼狩りという奴も在りますよ。出来ますれば、コメントを頂けたら嬉しいです。どんなコメントでも大歓迎です。 (2022年1月11日 21時) (レス) id: e0b3c2b120 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海鈴 | 作成日時：2022年1月9日 22時
