【wrwrd!】グラジオラス【短編集】 (ページ7)

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I want to be with you. tn ページ7

「トントンが倒れた」

グルッペンのその一言でその場にいる私たち全員の空気が凍りついた

「そういや最近、かなり夜遅くまで起きていたような…」
「はぁ…私注意したのに、あの人ったら…」
「というわけだ、トン氏が倒れた分の仕事を俺らで分担して片付けるゾ」

その真面目さが彼の良いところであり、悪いところでもある。トントンは自分の書類作成以外にも、私たちの提出した書類を見直したり、訂正まで一人でやっているのだ。時々、私も手伝うこともあるのだが…最後まではやらせてくれなかった事の方が多い。それはきっと女性である私のことを思ってのことなのだろう

(私ってそんなに頼りなく見えるかしら？)

そういう私も結局トントンの優しさに甘えているだけかもしれないわね…

「さて、お掃除といきましょうか…」

目の前に広がる書類たちに目を向けながら私は言い放った

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「A～そっちはどないなった？」
「ふぅ…なんとか終わりそうよ」
「よし、こっちの方はできたでー」
「オスマン、ありがとう」

皆で取り掛かればこの量の書類も早く片付くわね。トントンが毎日これを一人でやってるなんて考えたら思わずゾッとしてしまいそうだ。これを機に彼らもトントンに気を遣うようになるのではないだろうか

「よしこれで最後ね、はぁー長かったわぁ」
「これでしばらくトンちもぐっすり眠れるやろな」
「ええそうね、皆ありがとう…」

あとはトントンの様子を確認するだけね
私は彼らにそう告げ、トントンの部屋へと向かった

そっと扉を開け、中の様子を伺ってみると

寝台に彼は居た

スースーという規則正しい寝息が耳に入ると私は少し安心した

「ひどい隈ね、せっかくの美形が勿体ないわ」

いつもきっちりと整えてある髪は少し乱れ、トレードマークの黒縁のメガネはお留守番のようだ

(城のメイド達からは結構モテてることに自覚してるかしら？)

でもこんな無防備なトントンをゆっくりと観察できるのはメイドには出来ないことだ

「でも…やっぱりあなたの元気な姿が見たいわ」

思わず私の口から本音がポロリと零れ落ちたが、きっと彼の耳には届かないだろう

私は部屋を後にしようとした時だった

「いかんといて…」

確かにそれはトントンの声だった