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「あら?いないの?」
不思議なことにそこにはひとらんのはいなかった。いつも通り農作業をしたり、動物とふれあっている彼の姿はどこにもなかった
街のパトロールへ行く時間でもないし…
一体どこへ行ってしまったのだろう…
「外道丸、どうかしたの?わっ!」
突然外道丸が低くいななきながら、私に顔を擦り寄せてきた
「もしかして、私を励ましてる?」
なんて言いながら撫でると今度は前脚を地面に叩きつけるように搔いた。馬がこのような行動をする時は何かを求めている、訴えっているとひとらんから教えて貰った。外道丸がこの行動をする時は決まって外に出して貰う時である
「ちょっと待っててね…」
外道丸を放牧場に連れていくと彼は嬉しそうに尻尾をたなびかせ、風を切るように駆け回る。その姿はとても軽やかで且つ迫力があった。
これが馬の本来あるべき姿なんだなぁ…と、
思わず見蕩れてしまいそうだった
しばらくその様子を見ているとふたたび外道丸が私の方へ向かってきた。そしてそのまま前脚を居るようにしてストンと私の側で腰を下ろした。私もそれに合わせ、寄り添うように地面に膝を付ける
「よしよし、ほんと…綺麗な毛並みね」
毎日ひとらんの手によって彼の毛並みは常に整っている。これは彼が愛されている決定的な証拠だ
(これだけ綺麗だと、思わず妬いてしまいそうだ…)
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「A?」
この声は…!
「ひとらん!?」
呼ばれた方へ振り返ると探し求めていた彼の姿があった
けれど彼の顔は心做しか不機嫌そうに見えた
「何してたの…?」
「えっと…もしかして、怒ってる?」
「別に…怒ってなんかないし」
いやいや、明らかに怒ってるじゃない!
もしかして、勝手に外道丸を連れ出したことか!?
チラリと外道丸がいた方を見ると、遠くの方へパカラッパカラッと走る音が聞こえた…
「ご、ごめんなさい!勝手に外道丸外に出してしまって…」
「……で…」
「え?」
バサッ
気づいた時には、私はひとらんの腕の中にいた
「なんで外道丸ばっかりで俺を見てくれないの!?」
「っ!?!!!?」
彼の言葉を聞いて、自身の体温がカァッと上がっていくのがわかる。しばらく混乱しているとさっきよりも強く抱きしめられる
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作者名:みすりー | 作成日時:2019年7月8日 18時