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突然のことに彼女の従者達は恐怖で動揺し、その隙を次々とナイフで突いていく
会場は一気に悲鳴と叫びで埋め尽くされ、瞬く間に血と恐怖で染まっていった
「ひっ…」
無残なその光景にまだ幼い娘は思わず腰を抜かし、その場でガタガタと震え始めた
「こちらチーノ、目的の人物が俺らに敵意を向けてきたんでプランBを実行しました」
『やっぱそうなったかぁ…わかった、そのまま標的を拘束して城まで戻ってきいや』
「了解っす」
娘は恐怖で大人しくなり、後からきた我々の部下達によってそのまま拘束された
結果的に今回の任務は成功したが…
「A、どうかしたん？」
「いや、別に…」
「やっぱ怒っとる？俺が勝手なことしたから」
「怒ってないわ、むしろ…」
「むしろ？」
── お前にコイツは絶対に渡さへん ──
「な、何でもないっ！」
「えーホンマに？」
言えない、嬉しかったなんて絶対に言えない！
不覚にも私はあの言葉にドキッとした
「まぁええわ、とりあえずこれ着とき」
バサリと私の肩にかけられたのはチーノの上着だった。先程のおかげで私の服はほとんど血で汚れてしまい、それを隠すために彼はわざわざ私に上着を貸した
「急にどうして…」
「んー、どうしてやろな？」
当の本人はいつものようにニヤニヤとしながらこちらを見てくる。さっきまでのさり気ない優しさはどこへいったのよ…
「A？」
「…ありがとう、上着洗って返すから」
なんて言ってみたけれど、さてどう反応するか
「えっ…あ、どういたしまして…」
そこには顔を真っ赤にさせたチーノの姿があった
そんな顔するなんて…期待してもいいのかしら？
「ねぇ、チーノ」
「なんや？」
「今度、二人でどこか出かけない？」
「！行くっ！絶対に行こうや！」
いつか貴方の口から聞けるのを待ってるわ
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作者名：みすりー | 作成日時：2019年7月8日 18時
