【wrwrd!】グラジオラス【短編集】 (ページ15)

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「それで俺らみたいな庶民になんのようや？」

チーノが挑発するように娘に問いかける

傍から見たら失礼な態度にも娘は動じず、ニコニコと笑みを浮かべ、そのまま口を開いた

「少し私の相手をしてくださらない？」

もちろん、答えはYESよね？と言いたげな自信に満ちた視線を私達へと向けた

どうやら先程の様子を見ていたらしい

さすがにあれ程良い役ばかり揃うのを見て、明らかにおかしいと感じたのだろう

だが娘の目的はそれだけではなかった

「眼鏡の貴方が私に勝てたなら、貴方の望みを可能な限り叶えるよう私の力を貸して差し上げましょう、悪い話ではないでしょう？」
「ほーん、でこっちが負けたら？」

「貴方の隣にいる彼を私に受け渡しなさい」

娘はちらりと私の方へ視線を移し、ニンマリと笑みを浮かべた。やれやれ、面倒なことになりそうね…

チーノはその言葉に僅かだがピクリと反応したが、すぐさま娘を睨みつけるように視線を刺した

「わかったその勝負受けて立つわ」
「ふふふ、物分りのよい人間は好きですわ、では早速…」
「その前に一つだけ言わせてもらう」
「何かしら？」

お前にコイツは絶対渡さへん

「おい！チーノっ！何言って…」
「大丈夫やって、俺は負けへんから」
「そういう問題じゃない！」

「あら、これが友情ってやつかしら？ふぅ…見ていて吐き気がしそうだわ」

今の言葉には流石に私も頭にきた

「そんなもの私が壊して差し上げますわ、さぁゲームをはじめましょう」

こんな小娘に負けるなよ、チーノ…

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「嘘…そんな！私が！」

テーブルにはストレートフラッシュが、しかしその上には…

「ロイヤルストレートフラッシュ…この勝負俺の勝ちや」
「ありえないっ！こんなことって…」
「ええ加減にせい、お前は俺に負けたんや。約束通り俺の言うこと聞いてもらうで」
「嫌！絶対に認めないわ！」

やはり、最初から私達の話を聞く気はなかったようだ。気づいた時には彼女の従者たちが既に逃げ道を塞ぐように周りを囲んでいた

「面倒なことになったわね…」
「でもまぁ、こうなることは既に予想出来とったし」
「な、何よ！この状況でどうして笑っていられるのよ！」
「つまり、こういうことよ！」

そっちがその気なら、もはや隠す必要はなくなった

ザシュッ

ドサリと音をたて、従者が一人娘の目の前で倒れた

「世界の中心は貴方では無い」