卒業 ． hbc ページ27
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今日は卒業式。
桜はまだ咲いてないけど、綺麗な快晴だ。
私は別に卒業したわけではないんだけど、凄くそわそわしている。
何故なら……
「みんな祝ってくれてありがとな〜！」
そう、私は学校でも人気の先輩、緋八マナ先輩が好きなのだ。
でもそれは叶うはずがなくて、それでも気持ちを伝えて、先輩の進路を応援したくて…
……それすら出来無さそう、
まー、しょうがないかな…
人気だし、きっと好きな人もいるだろうし、邪魔かな…
早く帰っちゃお〜
『い〜なみ！早く帰ろー？』
「あ、A、マナに言えた？」
『……言えたら早く帰ろなんて言ってないって』
「…そっか、でもAはそれでいいの？」
よくないけど、無理なものは無理なんだよ…
『うん、！緋八先輩が好きって言ったら、困るだろうし…早く帰って春休みの宿題しなきゃだもん！』
強がって伊波に伝えると、
「……は、」
「あ、！いいところ来たじゃん」
伊波が私の後ろを見てにこっと笑う。
後ろを振り向くと…そこには、
顔が真っ赤な緋八先輩がいた。
『え、ひ…緋八、先輩…』
「あ、俺先に昇降口行ってるから、お二人でごゆっくり〜」
『あ！ちょ、伊波！……』
バタンという扉の音と共に伊波は歩いていく。
それに着いて行ってもよかったけど、私は残る理由があった。
『ひ、緋八先輩、！ご卒業、お、おめでとう…ございます、！』
「あ、あぁ…ありがと、な」
緊張で手が震えて、癖でポケットに手を突っ込んでしまう。
すると中でくしゃ…っと紙が潰れる音がした。
恐る恐る、紙を見ると、
〈これで最後かもだし、全部言っちゃいな！！〉
伊波の字が書いてあった。
私はポケットに紙を戻して、緋八先輩のことを見る。
『緋八先輩、聞いて欲しいんですけど…』
「……うん、」
『私、ずっと……緋八先輩のことが、好きでした、！これからも頑張ってください！』
私は心で泣きそうな気持ちを抑えて笑顔で言う。
きっと、私の恋は叶わないものだから。
私はスクバを持って伊波が待ってる昇降口に行こうとすると、
「…言い逃げはさせへんよ」
『え、』
「俺も、Aちゃんが好きや」
．
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作者名：おあ | 作成日時：2024年3月2日 19時
