ミステイク・ラヴァー【 sh 】 (ページ27)

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sho side

ＣＭ撮影当日までの期間、何もなかった。その方が有難いけど、何かしらのアクションがないと俺も俺で不安。………っつっても俺の責任だしなぁ、これ全部。

岸「なあ紫耀！葉山さんとこ行かね？！」
紫『………………は？』
岸「ほら覚えてるだろ？みんなで見に行ったときいたじゃんあの人！」
紫『………………あぁ、うん』

某テレビ局で遭遇したあの日だ。岸くんのもろタイプ、ってわけでもなさそうだけど運命感じちゃってるのは確かだと思う。１人で行くのは嫌だから、とかなんとか言って俺を巻き込もうとしてるのなんて見え見え。

紫『そんくらい１人で行ってこいよ』
岸「いや多分紫耀がいた方が盛り上がる！」
紫『知らんわ！ほらここで見ててやるから行ってきな』

適当にあしらったことを後悔した。元々は岸くんのことだけは知っていると言っていたAちゃん。普通に仲良さげに喋ってる２人を遠くから見てる俺、何がしたいんだろ。知らぬ間に吐いた溜息に海人は気づく。

海「変なこと聞いてもいい？」
紫『…………え？』
海「携帯の子って、まさかあの子じゃないよね？」

嘘が下手なのは他の誰よりも自信がある。すぐ手の届くところにAちゃんがいて、屈託のない笑顔があって、俺の名前を呼んでくれていたその声があって、隠し切れない現実と、動揺と、不自然なまでに泳ぐ視線が答えだった。

海「……………やっぱり、」
紫『……………みんなには、』
海「言わない。でもほら岸くん、乗り気だから早く言わないと、」
紫『……………だよな、』

大好きな人たちの笑顔を失うなんて、考えただけでも身震いがした。

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