よんじゅうろく ページ48
『ッ…なッ、に…?』
体が鉛の様に重い、手の震えが止まらない
(これは、貧血症状…?)
心臓が塞がらないまま戦い続けた体は、血液を失い過ぎていたのだろう
少し考えれば分かる事だったのに
不死に、痛みに 慣れすぎたせいで、自分の体の事がすっかり頭からとんでいた
(私は、死ぬの?)
それを意識した瞬間、酷い恐怖に駆られた
今まで、死ぬのが怖いなんて思った事、無かったのに
怖くて、寒くて仕方が無くなって、松陽さんの元まで体を引きずった
やっとの事で亜麻色の髪に指先が触れて、伸ばした腕の手首に、いつかの結い紐が見えて、それだけで本当に安堵して
彼の体の回復が遅れているという事は、人格が入れ替わっているのだろう
『__ごめん なさ い_約束、守れな い かも_』
″私には君さえいればいい、だからどうか、そばにいて欲しい″
無欲な、寂しがりの彼とのたった一つの約束だったのに
こんなときに限って悪い方向にばかり考えが働いてしまう。
もし、私が貴方の隣にいられなくなったなら
そうなったとしても
『_愛 して_る…』
私は、貴方を、ずっとずっと永久に
だから忘れないで欲しい、なんて
なんて愚かな願い事
僅かに残った望みに懸けて、全ての力を心臓の治癒に回す
だんだんと意識が薄れていく中で
走馬灯の最後に思い出したのは
古い、古い、
記憶の底の 昔話
_____朧霞の彼の追憶_____
弟弟子達を連れて逃げる中、感じたのは酷い無力感だった
やっとの事で安全な場所まで来ると 唯一動ける小太郎が腕を掴んだ
桂「朧殿、A先生を、助けに行かねば…」
一瞬頷きそうになって、ある言葉が頭をよぎった
ああ、そうだ 俺がすべき事は…
クククッと、心底可笑しそうに笑って見せると 弟達が訝しげにこちらを見た
朧「愚かな吉田松陽の弟子達よ、まだ気づいていないのか?」
なにいって… そう顔をしかめる銀時_いや白夜叉を蔑み見下ろす
朧「お前達の師、吉田松陽を捕らえるよう命じたのは他でもない俺だ」
瞳が、見開かれた
朧「師に拾ってもらった命、せいぜい大事にすることだ」
闇に向かって振り返らずに歩き出す
これで、いい
″なにか嫌な予感がするんです。もしも、私に何かあった時は 弟弟子達を、虚様をよろしくね″
あなたの予感は当たるから
安心して下さい、姉様
弟達は、俺が必ず守りますから
たとえ道を違え、彼らに殺されたとしても
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??黒雪??kuroyuki(プロフ) - ありがとうございます!泣ける(?)かは分かりませんが、世界観しんどいです。頑張ります。 (2020年3月9日 20時) (レス) id: a822d14485 (このIDを非表示/違反報告)
七重 - (´;Д;`)おお・・・最新話泣ける(?) (2020年3月6日 17時) (レス) id: cdecf486aa (このIDを非表示/違反報告)
??黒雪??kuroyuki(プロフ) - ありがとうございます!頑張ります! (2020年2月8日 17時) (レス) id: a822d14485 (このIDを非表示/違反報告)
七重 - たまたまこの小説見たけど、めっちゃ面白いです!更新頑張ってください! (2020年2月8日 15時) (レス) id: cdecf486aa (このIDを非表示/違反報告)
??黒雪??kuroyuki(プロフ) - いえいえ!読んでいただいてありがとうございます!同士がいてくれると嬉しいです! (2020年1月26日 20時) (レス) id: a822d14485 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:*雪之丞*yukinojyo | 作成日時:2019年6月16日 22時