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「そろそろお開きかな。」
彼のその言葉で、時間が結構たっていたことに気づく。
体は疲れているのに、心はまだ遊び足りない。
もっと一緒にいたかった。
「ねぇ、携帯の充電何％？」
「え？うんと…」
急なその質問に不思議に思いながら確認すると、いつもよりも遥かに多い数字が表示されていた、
思わず大きい声を出せば、彼は満足気に笑った。
「何か言いたげな顔だね。」
「楽しんでくれてたんだなと思って。」
図星だった。
照れてそっぽを向けばそれも指摘される。
それが悔しくて歩くスピードを早めてみるけど、身長が元々高い彼にはあまり効いていなくてさらに悔しい。
「次、どこ行きたい？」
「…」
「次は博物館とかどう？美術館もいいよね。」
心の底から楽しそうな彼を眺めていると、いつの間にか家の前に着いていたらしい。
寂しい気持ちを隠さずにひたすら話を伸ばそうとする彼に、あの頃とは違う何かを感じ取る。
「でさ、」
「変わったね。」
「え？」
キョトン顔は変わってないんだけどな。
でもそんな顔もだんだんと不安そうな顔に変わってくる。
「あ、ごめん。何か気に触った？」
「いや、違う。悪い意味じゃなくて。素直になったね。」
「…」
「言葉選びとかもそうだけど、雰囲気というかなんというか。」
あの頃よりも気が緩んでいるというか。
それがいい事なのか悪いことなのかはわからないけど、自分の感情をあまり隠さないようになっていた。
だから、少し怖くなった。
でも、そんな私とは逆に彼は自信を持ち始めている。
「もう後悔したくないから。」
私だってしたくない。
でも、彼はジャニーズとして頑張ってる。
複雑な感情を抱えたまま、私は彼に別れを告げ、背を向けた。
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作者名：桜海 | 作成日時：2020年5月28日 23時
