【中村悠一】 中村の嫁はわがままがーる

嫁、最強説 ページ18

はっと目が覚めると朝になっていた。

ケータイを見ると時間はまだ7時。
仕事が11時からでよかった。勢いで起き上がった体は痛くて今度はゆっくりと横になった。
ふと、いつもと雰囲気が違うことに気づく。
天井は明らかに自分の家じゃない。


「どこだ・・・ここ」
「目、覚めました？」


すぐ横にいたのはA。こんな光景ずいぶん前にあったような。

「おはようございます。昨日のこと、覚えてます？」

頭をフル回転する。
確か、昨日はAと一緒に飯食ってて告白したら逆プロポーズされて・・・

「いきなり私のビール飲み干すからびっくりしましたよ。そしたら突然寝ちゃうし」

そうだ。焦った俺はジンジャーエールとAのビールを間違えてそのままダウンしたんだ。
どうりでなんだか頭が痛いわけだ。

＿＿＿お嫁さんがいいです。

なんて言葉だ。あんなにドキドキしたのは初めてかもしれない。
彼女どころか友達さえいるのかわからない男に突然嫁ができるなんてデキすぎた話じゃねぇか？
いや・・・乗ってやるよ。惚れた女にプロポーズされて断る男なんかいない。

「水、もらってきますね」

Aが立ち上がろうとしたのを手首をつかんで阻止する。

「どう・・・しましたか？」
「今日の、予定は」

Aは少し考えた後

「この後すぐにラジオです！そのあとはアフレコが2本あって終わりです」

早くしないと消えてしまうんじゃないかと思った。
早く、1秒でも早く自分だけのものにしたい。

「夕方・・・指輪、見に行くか。」

熱い顔を上げるとそこにも熱そうな顔をしたAが。

「お・・・お嫁さんにしてくれるんですか・・・。」
「おう」
「私で、いいんですか！？」

実は、言ってみたい言葉があった。
いつかプロポーズする場面で言ってやろうと思った言葉。


「この先何があろうと中村の苗字はAにしかやらねぇよ」


かっこつけすぎただろうか。


「ゆ・・・・悠一・・・・・」

違和感まみれな呼び方。
それでも、名前を呼び捨てしようと頑張るAが愛おしくて仕方がない。

「この先何があろうと・・・中村の苗字は手放さないから！！！」

なんて奴だ。かっこつけたのに結局俺が落とされる。


《俺の嫁は最強だと思う》＿＿＿＿Twitterより


＿＿＿＿Aをどうしようもないくらい幸せにします。

作者からどうしても言いたいことが・・・。→←告白はプロポーズ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す