ポータルの扉を叩けばー交差する時間ー

１２ ページ12

「ここだ…。」



普通だったら気づかずに、通り過ぎてしまうくらい

狭い路地。



上を見上げればかなり高さはあるけど、あまり新し

くない雑居ビルのような建物の間だ。






でも確かにここに、入っていった。



あの金髪は間違いない。





私は息を少し吸い込んで、足を踏み入れる。





暗い路地は、ゴミやら空き瓶がゴロゴロ転がってい

て、とても衛生的とは言えない。




恐る恐る進んで行き、真ん中辺りまで来たかな？と

思った時、片方の雑居ビルの壁に一枚の錆びれた鉄

のドアが現れた。




どうしよう…。ノックする？




いやノックした所で違う場合、言い逃れができそう

にない…。





私はそのドアの前で、ノブを触ろうとしてはやめを

繰り返していた時、いきなりドアが開き私は顔面を

強打した。




「いったぁ〜…。」





目がチカチカして、オデコをおさえながら、その場

にしゃがみこむ。







すると、頭上から探していた声が。









北「えっ…、A…？」





私はまだ目がチカチカする中、片目を開けて見上げて、



「やっぱり北人くんだ。久しぶり。」





北「ほんとにほんとにAなの？！なんで？！どう

して？！」



北人くんは私の頭や肩を触って、存在を確認する。




そんな彼の洋服は、カーキ色メインから豹柄に変わ

っていた。







「えっと…、話せば長くなる。苦笑

とりあえず会えて良かった、ずっと探してたの。」




だいぶオデコの痛みもひいてきて、立ち上がる。






北「俺も会いたかったよ！いきなりいなくなっちゃ

って、もう…会えないのかと…。」





「その節はごめんね…。助けてくれたのにお礼も何

も言えないまま、元の世界に戻っちゃって…。北人

くんもみんなと同じで充分、力になれてたよ。」




あの時、言えなかったことをやっと伝えることがで

きた。




北人くんはふるふると首を振って、俺なんか全然だ

よ、と自信なさげに笑う。






「ねぇ、みんなはどこ？壱馬くんも…この中にい

るんだよね？」




絶対そうだと思って聞けば、







北「…ここにはいないよ…。壱馬も他のみんな

も。」





「えっ…、」




また振り出しに戻された気分で心がズシンと重くなる。

１３→←１１

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す