一期一会 (ページ46)

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その後、田上さんが半休をとっていたからか

けっこう忙しくて、未だパソコンと睨めっこ。

(別に田上さんのせいとかではないですよ？！)

時刻はもうすぐ22時になろうとしている。

人もまばらになった事務所で、1人黙々と仕事を片付ける。

かなり集中していたからか、田上さんのデスクに

ドカッと誰かが座わるまで気づかなかった。

「ひぇ？！」

私は素っ頓狂な声を出してしまった。

壱「変な声。笑」

うそ…なんで…。

「壱馬さん…！」

壱「お久しぶりです。はいこれ。」

そう言って壱馬さんがガサゴソと紙袋から出したの

はAmazing Coffee のコーヒーだった。

「えっ！ありがとうございます！てかなんでいるん
ですか？！」

私はコーヒーを受けとるも、思わぬ来客で頭はパニックだった。

壱「いや元気かなーって思って。笑」

壱馬さんはフッと笑った。

～っ！その笑顔反則だ！！

「げっ、元気でしたよ？それなりに。壱馬さんはど

うなんですか？」

ドキドキがバレないよう、必死に冷静を装う。

壱「元気でしたよ？それなりに。笑」

「そういうのパクリって言うんですよ？！」

からかわれた私を見て、壱馬さんはケラケラと

笑っている。

すると、私のデスクに貼ってあったバクステの

写真を発見した壱馬さん。

壱「懐かしいー。飾ってくれてるんですね。」

「もちろんです！私の宝物です。」

その時、壱馬さんに会ったら伝えたいことがあるこ

とを思い出した。

さっきはあまりの衝撃でそのことがぶっ飛んでた。

「あの！壱馬さんに話しがあっ…」

健「あ！Aさーん！お久しぶりっす。」

今日の上司といい、ものすごいタイミングで

健太さんが事務所の入り口で私を呼んだ。

「健太さん！お久しぶりです！」

と私が立ち上がったと同時に壱馬さんは田上さんの

パソコンの影に隠れるように身を縮めた。

そして私の手首を引っ張り、シー！というジェスチャー。

なななな、なに？！この状況！

壱馬さんの手の熱が伝わる。