一期一会 (ページ45)

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なんかこの流れ…デジャヴ？

前にもあったなー。

あの時から私のレールは大きく方向転換したんだっけ。

前の時と同じように、会議室に上司は入っていく。

上司「どうだい、この会社にはもう慣れてきた頃だろう？」

「おかげさまでみなさんに良くしてもらってます。

でも、仕事の面ではまだまだです。」

上司「その謙虚さ、やっぱり真面目だな。笑」

上司は同じみのガハハと笑った。

上司「いやAさんが真面目な子だったって

ランペのマネージャーから話しを聞いてね。

メンバーも口を揃えて言ってたらしいね。」

懐かしいな…よく壱馬さんに言われたなぁ。

「よく言われます…。」

上司「そんな真面目なAさんに朗報だよ。

企画の部署に穴が空いたから、ぜひどうかなって。」

「え？！私がですが？！」

上司「そう。ランペのマネ補佐もやって芸能界の

経験も少しはできだし、アーティストとの関わりも

分かっただろうしね。

やってみたかった仕事なんだろう？」

どうしよう…。

こんなに早くチャンスが巡ってくるなんて…。

考えなくても答えは決まっている。

「…ぜひやらせてください！！」

私は頭を下げた。

上司「じゃぁ、人事の方に伝えておくよ。」

「ありがとうございます！」

こんなトントン拍子に決まるなんて思ってもみなかった。

今すぐ報告したい、壱馬さんに。

でも、それはできないんだった…。

自分のデスクに戻ると、田上さんはいなかった。

その代わりに、私宛にメモが貼ってあった。

ー午後、半休だから帰るけど話し今度聞く！ー

なんだかんだ言って、面倒見のいい先輩。

今の部署は居心地がいいから移動するのが怖い。

でも私は環境が変わっても目標に向かって行かなきゃ。

「よしっ！」

新米の頃を思い出し、自分の頬をパチンと叩いて、

仕事の続きに取りかかった。