173 ページ23
驚いている加納くんがいるのは
分かっているが、私は話を続ける。
「壱馬くんが体調を崩したから来てほしいって、その
日慎くんから連絡もらってて…。行くかすごく悩んだ
んですけど、それでもやっぱり放っておけなく
て…。今まで黙ってて、ごめんなさい…。」
座ったまま下げた頭を上げると、加納くんは前を向い
たまま目の前の池を見つめて、小さく言った。
嘉「そうだったんですか…。」
「本当、ごめんなさい…。それで、」
嘉「Aさんは優しいから、仕方がないことで
す。」
くるっとこっちに向けた加納くんの顔は微笑んでいる
けど、初めて見るとってつけたような笑顔だった。
嘉「ちょっと妬けちゃうけどでも、困ってる人を放っ
ておけない気持ちも分かりますし。」
少し早口で、苦笑いする加納くんに違和感を覚える。
嘉「だから、気にしないで下さい。それより今日はど
うしましょうか?映画も良いし、せっかくここにいる
ならこの前の苺のカフェも、」
「加納くんっ!」
私が思い切って話しを遮ると、加納くんは下を向いて
しまった。
「話したい事があるんです…。」
今日、加納くんをここに呼んだのは謝りたい事と話し
たい事があったから。
それをちゃんと、伝えなくちゃ…。
「加納くんは優しくて、辛い時や悲しい時いつも支え
てくれて、こんな私にはもったいないくらいです。」
カリンさんとの事、壱馬くんとの事で辛い時、加納く
んはいつも寄り添ってくれて、話しを聞いてくれた。
「それなのに、私は加納くんを振り回してばっかり
で…。」
壱馬くんと別れたのに、ズルズル引きずっているのを
絶対気付いていたし、その気持ちからくる行動でたく
さん振り回してしまった。
「だから…、加納くんの幸せを願っています。」
私から「別れて下さい」なんてセリフは烏滸がまし
い。
だから、せめてもの言葉で加納くんに伝える。
もっと相応しい人と、加納くんが幸せになれるよう
に…。
766人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「THERAMPAGE」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みそじ(プロフ) - ましゅさん» お返事遅れてしまいごめんなさい( ; ; )こちらこそ最後までお付き合い頂きありがとうございました! (2021年3月22日 22時) (レス) id: 4773dc142a (このIDを非表示/違反報告)
ましゅ - わぁー(;_;)壱馬くんsideとカリンsideありがとうございました!良かったです。改めて完結おめでとうございます☆ (2021年2月28日 22時) (レス) id: ad7747e186 (このIDを非表示/違反報告)
みそじ(プロフ) - ma9さん» お褒めのお言葉ありがとうございます!更新できるよう頑張ります! (2021年2月12日 10時) (レス) id: 6c1fcd7cbb (このIDを非表示/違反報告)
みそじ(プロフ) - まりさん» コメント&お褒めのお言葉ありがとうございます! (2021年2月12日 10時) (レス) id: 6c1fcd7cbb (このIDを非表示/違反報告)
ma9 - おまけストーリー面白かったです。サイドストーリー楽しみにしてます。頑張って下さい。 (2021年2月8日 22時) (レス) id: aa709fe039 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みそじ | 作成日時:2020年10月19日 12時