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「そうだとしたら、どうしよう?!
って話で…。熱のせいで無意識に
自分で着替えたなら良いんだけど…。」
するとナミちゃんはスクッと立ち上がって部屋を出て
行き、すぐに戻って来て開口一番に、
ナミ「パパさんは着替えさせてないって。」
「きっ、聞いたの?!汗」
私も思わず立ち上がる。
ナミ「ってことは、二択ですよね?自分で着替えた
か、壱馬くんが部屋まで連れてきてくれた際に着替え
させてくれたのか。」
顎に手を添えて考えるナミちゃんに、私は目を丸くす
るしかできなかった。
ナミ「まっ、本人に聞くのが一番早いと思いますけど
ねっ。」
「本人って…?」
ナミ「決まってるじゃないですかっ!壱馬くんです
よ、壱馬くん。」
「…無理無理無理無理!絶対無理!!そんなこと聞け
るわけがないし!!汗」
私は正座していた体勢をやめて、思わずその場で立ち
上がる。
ナミ「まさか今回のお礼、壱馬くんにしないつもりで
すか?」
「う…、」
目を細めて指を刺され、おまけに図星なことを言われ
てしまったもんだから、私は言葉に詰まりその場にま
た座った。
「でっ、でも…壱馬くんとは別れたしそういうの
は…、」
ナミ「うーそっ。Aさんは律儀だから、絶対気に
するくせに。」
やっぱりナミちゃんには、全てお見通しなわけで…。
このままお礼を伝えずにやり過ごしてしまうのは、自
分の中でとてもやるせない気持ちでいたことは、確か
だった。
ナミ「それでお礼のついでに聞いちゃえばいいんです
よっ!着替えさせてくれたのかも。」
めっちゃ良い案じゃないですかっ?!と、目をキラキ
ラさせるそんなナミちゃんに押されて、私は小さく頷
くしかできなかった。
お礼…か…。
きっとまた壱馬くんの顔を直接見ただけで、気持ちが
戻ってしまいそうになる。
毅然としている自信が無い…、それが一番、会えない
理由。
でも確かに具合が悪くなったところを介抱してくれた
のに、お礼せずになんてのは人として良くないよ
ね…。
私はそう思いながら、ローテーブルに置かれたナミち
ゃんから借りたワンピースを見つめた。
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みそじ(プロフ) - ましゅさん» お返事遅れてしまいごめんなさい( ; ; )こちらこそ最後までお付き合い頂きありがとうございました! (2021年3月22日 22時) (レス) id: 4773dc142a (このIDを非表示/違反報告)
ましゅ - わぁー(;_;)壱馬くんsideとカリンsideありがとうございました!良かったです。改めて完結おめでとうございます☆ (2021年2月28日 22時) (レス) id: ad7747e186 (このIDを非表示/違反報告)
みそじ(プロフ) - ma9さん» お褒めのお言葉ありがとうございます!更新できるよう頑張ります! (2021年2月12日 10時) (レス) id: 6c1fcd7cbb (このIDを非表示/違反報告)
みそじ(プロフ) - まりさん» コメント&お褒めのお言葉ありがとうございます! (2021年2月12日 10時) (レス) id: 6c1fcd7cbb (このIDを非表示/違反報告)
ma9 - おまけストーリー面白かったです。サイドストーリー楽しみにしてます。頑張って下さい。 (2021年2月8日 22時) (レス) id: aa709fe039 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みそじ | 作成日時:2020年10月19日 12時