nostalgic ２

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壱「…なんで…、」



壱馬くんはドアノブを握ったままそう小さく呟いた。




あぁ…やっぱり引かれた、と直感ですぐに思い慌てて

否定しようとしたら、



「あぁあのっ…これはっ…！」




北「俺が、誘ったんだ。」





北人くんが、私の盾になるように目の前に立った。





それを聞いて一瞬、目を大きくさせた壱馬くんは後ろ

手でドアを閉めてから少し上目遣いで首に片手を当

て、




壱「…久しぶり…。」




「おっ…お久しぶり…です…。」




だけど私は彼の顔色を伺う方ばかりに意識がいってし

まい、北人くんの細長い背中から少しだけ顔を出して

言う。





北「まったく二人とも、よそよそしいなぁ。これから

三人で飲もうっていうのに。」





壱「はっ？！」
A「えっ？！」




北「当たり前じゃん。笑

せっかく三人揃ったのに。」





何か問題でも？な顔で笑う北人くんとは対照的に、私

と壱馬くんは思わず驚きの声がハモってしまった。





壱「北、何言ってんだよ？！」


「私、帰ります！」





私は荷物を抱えたまま、そろりそろりと部屋を出よう

としたら、





北「二人ともひどいよ…。俺は三人が揃ったことがこ

んなにも嬉しいのに…。俺たちの仲って…それまでだ

ったんだね…。」




と、目をウルウルさせて急に俳優モードの北人くん。






これは演技に磨きがかかった証拠だな…。



だけど、私たちはそれには騙されないから！








そう思って壱馬くんを見れば、未だ首を片手に当てて

すごく心苦しそうにしている。





えっ…いやいやいや！




これは完全に演技でしょ！と、ツッコミを入れるか迷

っているうちに、壱馬くんは口を開いた。






壱「…わかったよ…。」



えぇえー？！！



嘘でしょー？！！





北「壱馬ありがとう！じゃ、いつもの所にタクシー回

してもらっておくね。」






北人くんは壱馬くんの肩に手を回して、彼を部屋から

出すのを促す際、少しだけこちらを振り返って舌を出

した。







これは完全に確信犯。



私は口をあんぐり開けて、目をぱちぱちさせることし

かできなかった。

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