nostalgic

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母「他にやりたいことは無いの…？」



お母さんは少し困った顔で、私の向かいに

腰掛ける。





「うん…、やりたいことってのが無くって…。だから

っ…、」


父「駄目だ。」







その時、ソファに座ってテレビを見ながらお父さんは

言った。






父「そんな生半可な気持ちなら、駄目だ。」


　

私は、お父さんの側に駆け寄る。





「生半可な気持ちじゃなくて、私はただっ…、」



父「やりたい事が無い末にやっても、続かないだけ

だ。」



母「ちょっと、お父さんっ…。」







こちらの顔も見ずに、視線はテレビのままなお父さん

の横顔に苛立ってくる。





「なんで決めつけんの？！私はただ二人の、」


父「とにかく駄目だ！」







やっとこっちを見たお父さんの目は、何度か見た壱馬

くんと同じで真っ直ぐだった。







「っ…。」




私は下唇を噛み、どんどん目に溜まる涙をこぼしてた

まるかと思い、私を呼ぶお母さんの声も無視して自分

の部屋へ駆け出した。









バタンッ



力が入っているからか、いつもより部屋のドアは音を

鳴らして閉まる。









お父さんなんか、全然人の話し聞かない分からず

や！頑固者！





ベットに腰掛け、窓際の壁に寄りかかり体育座りをし

ながら心の中で罵声を上げる。







お父さんたちのためになろうとしたのに…。




なんでよ…。







なんとなく外を見たくなって、涙を拭いながら頭上の

窓を覗くと、真っ赤な目の自分が反射して写り、その

向こうには梅雨の山々が腰据えている。







こんな時、もし彼がいてくれたら…。




ふと脳裏をよぎる、また彼のこと。







そんな彼が言ってくれた、やりたい事がなくても誰か

のなめになることをやり続けてれば…っていう言葉は

間違ってたの？









ううん、きっと間違ってはない。





だって私は、彼のあの言葉に救われたから。







そしておもむろに携帯を鞄から取り出し、動画サイト

で彼の姿を探そうとして、やめた。





こんな時に姿を見たら、きっとどんどん会いたくてな

る。





どんどん気持ちが膨らんでしまう。






だから、彼の言葉だけを胸に留める。




その時、私はそう強く決心してベットに顔を埋めた。

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