nostalgic

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ー翌日ー




瞼が重い。


なんだかいつもより視界が狭く感じる。








しかも、今日に限って晴天。




目に違和感を覚えたまま朝日の眩しい中、学校に到着

した私は下駄箱で上履きに履き替えていると、後ろか

ら誰かに軽くタックルされた。





「ぃっ！」

ユズ「おっはよっ！」




「なんだ…ユズか、おはよう。」



ユズ「なんだって何よ…っていうか！何その目？！ど

したの？！」






朝からキーンとなるくらいユズの声が耳元で鳴ったよ

うな気がして、私は目を細めた。





「ちょっと…ね…。」





一足先に歩き出そうとした私の後を、ユズは慌てて上

履きに履き変えて追って来た。







ユズ「いやいや！大したことないみたいに言ってるけ

ど、全然ヤバイからね？！」





全然ヤバイって…、そんなに？




「そんなに酷い顔になってる…？」



ユズ「クマもすごいし、目も腫れてるよっ？！」






昨日お父さんと喧嘩して泣いたのと、壱馬くんのこと

を考えてたら寝れなかったなんて、なんだか恥ずかし

くて言えないな…。





「夜更かしたせいかな〜。」







階段を上り、苦笑いでなんとかその場をやり過ごそう

と踊り場まで来た時、上から降りてくる女子二人組の

会話に身体が固まる。






女子１「見た？！昨日の壱馬くん！」


女子２「見た見た！カッコよすぎでしょ、あれ！」






そしてその二人が、こちらの存在も気にもとめずに階

下へ降りて行ったのと同時にユズは、







ユズ「A…、もしかして壱馬くんのことで、」


「違う違う！泣ける映画を夜中まで見ちゃって、それ

でこんな顔になったわけ！」







取り繕う私に、何か言いたそうな顔をしている親友だ

けど、見なかったフリをして彼女の手を取った。




「心配してくれてありがと！ほら、行こっ！」








だめだめ。



良い思い出にしなきゃ。




この気持ちは無かったことにしなきゃ。









それから数日、いつもと変わらない日々を送ってい

る…と言いたいところだけど、相変わらずお父さんと

は口をきいていないし、こんな田舎にいないはずなの

に、どこへ行くにも彼の姿を探してしまう日々が続い

ていた。









親友であるユズにも、お父さんとのことはなんだか相

談できずにいた。






だってユズは進路が決まっていて順調なのに、私はそ

れ以前でつまづいている。

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