nostalgic

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私はどうしていいか分からず、

手持ちぶたさにしていたら、



壱「早く財布しまい。カツアゲなんてしねーから。」




と、眉毛を下げて笑った。






「えっ…、あっ…はい…。」




言われるがまま、お財布をガサゴソとしまいながら首

を傾げる。




なんなんだ…？



ヤンキーなのに、なんで優しいの？









壱「この辺の学校なん？」





お財布をしまい終わったと同時くらいに、片手をポケ

ットに手を入れて、少し偉そうに聞いてくる。






「あっ…はい…、そうです…けど…。」




だけど聞いて来たわりに、ふーん、と興味の無さそう

な返事が返ってきて、ちょっと嫌な感じ。





「あの…、この辺では見たことない制服ですけど…、

どこの学校なんですか？」





私だけ情報公開するのも尺に触り、思い切って聞いて

みると彼は微笑みながら空を仰いで、



壱「あ〜…、不良ばっかいる学校かな。」








やっぱりヤンキーには間違いないんだ！！



もうこれ以上関わらない方が身のためだ！！






「そっ、そうですか！もう…この辺で失礼させて頂

きま〜す…。」







私は尻尾を巻いて彼の横を通り過ぎた瞬間、なぁ！と

呼び止められたので、ゆっくりと振り返る。






壱「…ここ、良い所じゃん。」



「っ！」





ヤンキーな見た目に反して、彼は優しい顔でそう言っ

た。







でもそれって、私がさっき叫んだことに対して言って

るんだとすぐに気づき、顔に熱が集まる。







やっぱり聞かれてんだ…、恥ずかしい…。




いやあんな真上から叫べば、誰だって聞こえるよ

ね…。泣





だけど、なんでかは分からないけど弁解の言葉が無意

識に口先から出る。





「さっ、さっきのは忘れてください！」



壱「悪りぃ、俺の人生の中で衝撃的トップ３に入るか

ら無理。笑」



「なっ？！」








そして、くるりと方向転換をしたかと思うと片手をあ

げて立ち去って行く。


けれど、その手には缶コーヒーが握られていて、先程

の咳の原因はこれか、とその時気づいた。






「なんなの…ほんと…。」






その後、私は彼の背中が見えなくなるまで、その場に

立ち尽くした。

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