nostalgic

３ ページ3

早く大人になって、

早くこんな場所から抜け出したい。






商店街を抜けて、少し高台にある私の家の手前には小

高くなっているからか眺めの良い場所がある。




子供の頃は初日の出なんかを、家族でけっこうここに

来ては見ていたくらい眺めは良い。





まぁ、見えるほとんどは山なんだけどね…。






ここ最近はほぼ素通りだったけれど、なんとなくそこ

で立ち止まり、ボーッと遠くを見てみる。









少女漫画みたいに海とかあればまた違うんだろうけ

ど…、ほんと山ばっかり…。






「こんな田舎、もう嫌だー！！！！」





と、思わず叫んだ瞬間、








？「ゴホッゴホッ！！」



「ひっ！！」






私の真下から、何かにむせるような咳をする音が聞こ

えて私は思わず小さな悲鳴をあげてしまった。






その咳が聞こえたであろう場所は、ここからじゃ死角

となっているが恐る恐る上から覗き込むと、






？「ぅおっ？！！」


「わぁっ？！！」





咳の犯人は、私が覗いたのとほぼ同時に立ち上がろう

としたようで、お互い驚きのあまり後ろにのけぞっ

た。





「すすす、すいませんっ！」



慌てて頭を下げるとその彼は、ヨッコイショと小さく

口に出しながら私のいる位置まで上がって来る。





壱「俺も…、」




その声で反射的に顔を上げれば、綺麗にセットされた

黒い髪の毛に小さな整った顔。




そして、ここら辺では見たことのない制服のような黒

いズボンに柄物のシャツを羽織る、いかにもなヤンキ

ーが目の前に立っていた。





ヤバイヤバイヤバイ！！



今時こんなヤンキーいるんだ…ってか、カツアゲされ

る！！絶対そうだ！！ヤバイ！！！






「ほんっとすいませんでした！！あのっ…今1000円

しか持ってなくて…。それで許してもらえますか？！

泣」





私は半分涙目で慌てて持っていた財布を取り出そうす

ると、






壱「プッ…、ハハハッ！」




「…え…？」






目の前のヤンキーは、口に手を添えて笑い出したの

だ。








「あの〜…？」




壱「フッ…、あっ。ごめん笑ってしもて。笑

いや、こんな経験初めてだわ。」






そう言いながらも、クククッとまだ笑いを堪えてる感

じ。







なんなの、この人？！



え、ヤンキーだよね？！



最近のヤンキーって、カツアゲしないの？！

４→←２

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す