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年下に奢らせるわけには…ってことは、

楓士雄くんは私より年上なんだ…。




目の前で困る彼のことよりも、また一つ楓士雄くんの

ことが知れて、なんだか新しい発見をした時の気分。






「私の奢りじゃなくて、母の奢りなので気にしないで

ください。」




だからはいっ、と無理矢理彼の手に千円札をねじ込ん

だ。





壱「まじか。んじゃ、今度お礼に行かなきゃな。」



「いや、たかがパン二個でお礼しに行かなくて

も…。」




壱「こういうのは、値段じゃないねん。」








楓士雄くんは義理人情っていうか…。




なんでその見た目に反して毎回期待を裏切らないどこ

ろか、その上をいくんだろう。





そのギャップ、反則だよ…。








そんなことを思っていたら、笑顔で二つのカレーパン

を手に取り、



壱「んで、Aも食ってくんやろ?」




「いやっ、私はっ…、」


壱「ほら、早く。」






言葉を遮って、自分の隣をまたもポンポンと叩いて私

を呼んだ。








壱「いただきますっと。」

「いただきます…。」







一口目を頬張って思う。




小さい時から見ているこの景色の前で、まさか自分ん

家のカレーパンを食べることになるとは思いもしなか

った。






壱「んまっ。」





美味しそうに食べるなぁと、もぐもぐと満足そうに食

べる楓士雄くんの横顔を見ていたら、急にこっちを見

てきた。






壱「ん?どした?」



「いやっ!なんでもないです!!」



壱「ふっ、変な奴。笑」






優しく笑った楓士雄くんに、胸が高鳴る。





いやいや!なんで私、今ドキッてしたんだ?!


ヤンキーにときめくなんて!!





壱「なに一人で百面相してんだよ。笑」



「しっ、してないしっ!」






それからは二人でたわいもない話をして、いつも通り

彼のタイムリミットが来たらお別れ。







その後もそんな放課後が続くこと二、三日。





短時間ではあるけれど、だいぶ楓士雄くんとも慣れて

きた。




だけど、私はまだ彼のことを全然知らない。



学校も、ハッキリとした年齢も、連絡先はもちろん、

どの辺に住んでいるのかも…。







それでも時間をかけてもいいから、いつかは知れたら

いいな。






だってきっと彼は、この街に来たばっかりでこの先も

いるだろうから…。

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作品ジャンル:恋愛
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みそじ(プロフ) - みーさん» コメントありがとうございます!だらだらと長くなっていますが最後までお付き合い頂けると嬉しいです( ; ; )その後のストーリーも検討しておきますね! (2020年2月5日 11時) (レス) id: caa215b4c7 (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - すごく素敵なストーリーですね!更新を楽しみにしています!付き合うまでの過程も面白いですが、その後のストーリーとかもあって欲しいなって思います(^^) (2020年2月4日 23時) (レス) id: 2e81ed1e8d (このIDを非表示/違反報告)
みそじ(プロフ) - ましゅさん» コメントありがとうございます!切ない気持ちになって頂けるのが狙いだったので良かったです!笑 更新遅いですが今後の展開はお楽しみでお願いします( ; ; ) (2020年1月15日 19時) (レス) id: caa215b4c7 (このIDを非表示/違反報告)
ましゅ - ふじおくんとつかさくんの優しさ…主人公ちゃん自分の気持ちに気付いたのに切ないです(;_;)(;_;)もう会えないのかな?(;_;) (2020年1月14日 15時) (レス) id: ad7747e186 (このIDを非表示/違反報告)
みそじ(プロフ) - KKさん» コメントありがとうございます!更新遅くてごめんなさい( ; ; )そのお言葉、励みになります! (2020年1月7日 12時) (レス) id: caa215b4c7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みそじ | 作成日時:2019年12月28日 15時

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