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── っ帰ろう、帰らなきゃ、北斗が戻ってくる前に、あの子に会う前に、手遅れになる前に、帰ろう、ひとりになろう、ひとりに、ひとりにならなきゃ、
「…A？ っA！」
「っや、」
いつの間にか戻ってきていた北斗が、肩に触れた。瞬間、弾くようにその手を払ってしまった。
「っ、」息を呑んだ北斗。けれどすぐに私の腕を引いて、ぎゅう、と強く抱きしめる。
「落ち着いてA」
「やだ…北斗…」
「ごめん、スマホ置いたまま外行ってた。連絡くれてたんだね」
ごめん、って言いながら子どもをあやすようにトン、トンと背中を叩く。
落ち着いて、ゆっくり息吸って、…吐いて、って彼の言葉に合わせて胸を動かす。数回それを繰り返したら、ようやく少しだけ落ち着いた。
「……ごめん、北斗」
「謝らないでよ」
私の首元に、彼が顔を埋めた。ふわりと彼の髪が肌をくすぐる。
「その…言い訳になるんだけど」
「…ん、」
「A、この前さ。食べてみたいって言ってたでしょ？」
北斗がゆっくりと体を離した。そうして、そばに投げるように置かれていた紙袋を見せる。
「買いに行って、」
「…」
「……スマホを、忘れてました」
「本末転倒……っていうより、なお悪い…」申し訳無さそうに項垂れた北斗に、目を瞬かせた。
「…そうだったんだ」
「うん。ごめん」
「北斗の方こそ…謝らないで」
「でも…」
「ううん。いいの」
そうして彼の体を抱きしめ直した。「いいんだけど……もう少しだけ、こうしててもいい？」「え。もちろん」きゅう、と、大切なものを閉じ込めるみたいに、優しく力が込められる。
「……北斗の匂いだね」
「臭い？」
「臭くないよ(笑)」
安心する、って言ったら、「ならよかった(笑)」ってほっとしたように笑った。
◇
◇
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ぬめ娘(プロフ) - 初めまして🙇♀️みそ様の作品がとても大好きなので思わずコメントさせて頂きました✨本当に文章や言葉選びが素敵でどの作品も2、3周拝見いたしました🥰これからも勝手ながら影から応援させていただきます。 (2022年6月27日 23時) (
レス) id: 9b0e8af300 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みそ
| 作成日時：2022年6月4日 21時
