【完結】淡く柔い鎖 (ページ12)

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わからない問題がわからないと言う奈緒と田中くん。……それはつまり、宿題にほとんど手を付けていないことと同じだ。

「…二人とも大丈夫？終わる？」
「おわ、おわらないかもしれない」

こんなにあると思ってなかった、って半泣きの奈緒。一方で田中くんは、「終わんなかったらしゃーねえしそれで出すわ(笑)」って。楽天的にもほどがある。

「ワーク、は、答え丸写しして、」
「…休み明け、小テストするって」
「なんで！！」

ぐわ、と鬼の形相。

「奈緒ちゃん、宿題って計画的にやるもんなんだよ」って松村くんに諭されてる。…ものすごい睨みをきかせてるから、思わず笑ってしまった。

「…読書感想文の要点、私まとめようか？」
「え！」
「Aさんだめだよ、甘やかしたら」
「…北斗くん帰ってもらっていい？」
「嫌です」

「なんでさもう終わってんでしょ！？」「残念あと少しなので、のんびりここでやらせてもらいますー」「はあ？うざいんだけど！」…なんか学校で見るよりも、松村くんがいくらか子供に見える。

ぎゃあぎゃあ騒いでる二人。…それを面白そうに見守る田中くん。
いつもとは違った構図に、なんだか不思議な感じがした。

「…あれ、完全に素の北斗だよ(笑)」
「え？」
「学校行ってるときはさ、他にも目あるけど。今は俺らだけだし」
「…そうなんだ(笑)」

随分と、信用されてるな。…嬉しいなって思った。

ゆら、とまたひとつ。気持ちが傾く。

◇

「そういえば私ね、2学期から図書局入ることにしたんだ」
「としょきょく？」
「図書室で、本貸し出ししたりする人」
「ふーん？」
「…なんでまた急に、」
「んー…興味あったから、かな(笑)」

図書室に掲示するポップ作ったりもするんだって。そう言うと奈緒は、「ずっと感想文書くみたいなもんじゃん…」って、地獄を見たみたいな顔をする。

「え、てことはAちゃん、昼とかそっち行くの？」
「や、お昼は当番制なんだけど…そうだね、放課後は毎日行くことになるかも」
「え！？」

奈緒が、パって驚いた顔をする。
数秒の無言。

「…あ、でも『用事がある日は強制しないよ』って言ってたから、」
「じゃあ毎日用事あるって言って」
「それはさすがに…(笑)」
「やだやだやだ、Aと一緒に帰れないのやだ〜！」
「わあ…おっきい赤ちゃん…」
「…あ！もしかしたら私も "としょきょく" 入れば解決じゃない？」
「ポップ作りあるよ？」
「んんんん〜！」