４ ページ4
「…あのさ、」
「ん？」
「……終わった後も、話しかけていい？」
「え。もちろん！」
少しだけ視線を逸らして言われた言葉。それにすぐ同意すれば、彼は安心したように「よかった(笑)」と言って笑う。
ス、と落とされた照明に、沸き立つ場内。
…このタイミングでよかった、と思った。だって、この人。
……なんでそんなに、優しい顔をするんだろう。
◇
◇
ふ、と灯りがともされたタイミングで、ふぅ、と息が漏れた。
よかった。楽しかった。…楽しめた。
来てよかったと思えたことに、無性に安心した。
閉演を知らせるアナウンスが流れる中、服の袖がゆるりと引かれる。「Aちゃん？」そうかけられた声に、顔を向けた。
不思議そうな顔をしてる、慎太郎くん。
「疲れた？ボーッとしてたけど」
「え？ああ、ううん、…余韻にね？(笑)」
「あー、余韻に(笑)」
…本当は、それだけじゃないんだけど。
それでも納得した様子の彼は、「なるほどねー」って頷いてる。
「あー…じゃあ、もうちょっとだけ」
「ん？」
「よかったら、…ご飯、行かない？」
少しだけ逸らされた彼の視線は、すぐに戻ってきた。私の瞳の上でぴたりと止まって、その目がふわりと細められる。「ほら、さ、余韻。話した方が楽しいよ、きっと」って。
「…慎太郎くんは、」
「うん」
「……や、その…いないの？行く予定だった人、とか」
「…まあ、多分、言えば混ぜてくれるヤツはいる」
けど、と言葉が続く。
「…Aちゃんと行きたいんだけど。…だめ？」
「…」
「楽しかったし。話してたの」
「…うん、私も楽しかった」
私の言葉に慎太郎くんは、ぱち、ぱち、と瞬きを返した。なら行こうよ、ってきっと、思ってくれてる。…どうしよう。楽しかったんだ、すごく。けれど。
「……いいの？私で」
「え？もちろん(笑)」
「ほら、焼き鳥の話したじゃん？」って、椅子から慎太郎くんが立つ。「Aちゃんも立って！」って、肩を叩いて急かされて、そのまま人の流れに乗る。
「おいしい店があるんだけどさ」
「焼き鳥が？」
「そ」
立って隣に並んだ慎太郎くんはやっぱり、私よりも大きい。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 814人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SixTones」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
みそ(プロフ) - ひよりさん» ありがとうございます。楽しんでいただけたならよかったです🙇♀️💚 (2022年5月31日 13時) (
レス) id: 4d278d62fc (このIDを非表示/違反報告)
ひより(プロフ) - めちゃめちゃにきゅんきゅんさせて貰いました🤍最高でした😍 (2022年5月29日 23時) (レス) @page24 id: 67c39a707a (このIDを非表示/違反報告)
miso(プロフ) - UwUさん» すいません、変換できないようになっていたので直しました💦教えて下さってありがとうございます…！！！！ (2022年4月12日 21時) (レス) id: ecadc79423 (このIDを非表示/違反報告)
UwU - 25の松村さんのセリフ「元の名字」ってどういうことでしょうか？？ (2022年4月12日 0時) (レス) @page25 id: aca0757d01 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みそ
| 作成日時：2022年1月15日 22時
