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呆然としながら、彼の背中を追う。
── 信号をふたつ分過ぎたところで、慎太郎くんの足がゆっくりと止まった。後ろを振り向いて、いないことを確認して。ほ、と息をつく彼。「……ごめん！」突然投げられた謝罪の言葉に、反応することができなかった。
「勢いで連れてきちゃったけど…やばい？偉い人だった？」
窺うように、私の顔を覗き見る彼。「やべーどうしよ…Aちゃん、後で怒られたりしない？」眉を下げて、困りきった顔をする。
「…ううん、大丈夫」
なんとか口角を上げて言う。「それより、腕…」未だ掴まれたままのそれに視線を向ければ、「うわ！…あ、そうだよね」って慎太郎くんは、慌ててその手を離した。
ほんの一瞬、沈黙が降りる。
「…ごめんね、私の方こそ。服引っ張っちゃって」
「あ、いや…それは全然」
「……慎太郎くん、どこか行く途中だったんじゃない？」
「あー……まあ、そうなんだけど」
言葉を濁す彼に、精一杯の笑顔を浮かべた。「連れて来てくれてありがとう。本当に、」…長い言葉を話そうとしたら、だんだんと言葉が震えてくるような気がした。一度切って、肺に空気を入れる。「…大丈夫だから。慎太郎くん、行って？」
「…大丈夫？」
「うん、大丈…」
「こんなに手、震わせておいて？」
気づいてる？と言われてハッとした。胸元で両手をぎゅう、と握れば、それでも微かに震える手。
「Aちゃんさ」
「…」
「最初は…聞き間違いかと思って、すぐ行けなかったんだけど」
「……」
「"助けて" って、言った…よね？」
慎太郎くんがそう言った瞬間、喉がひゅ、と鳴った。── わたし、慎太郎くんの服を掴んだ瞬間。口には出してない。けれど確かに、助けて、って思った。強く、強く、思った。
瞳がじわりと、透明な膜におおわれる。視界が歪んでいく。
「…ごめん、行ってほしいかもしれないけど」
「っ」
「こんなとこで。Aちゃんのこと放って行けない」
俯いた瞬間、あ、まずい。って思った。限界まで溜まっていたものが、簡単に流れ落ちてしまうから。
「…しんたろ、くん」
「うん、なあに？」
「……行かないで」
俯いたまま、ゆっくりと彼の袖口に触れる。「ひとりに、なりたくない」そのままポツリと呟けば、慎太郎くんが微かに息を呑む音が聞こえた。
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みそ(プロフ) - ひよりさん» ありがとうございます。楽しんでいただけたならよかったです🙇♀️💚 (2022年5月31日 13時) (
レス) id: 4d278d62fc (このIDを非表示/違反報告)
ひより(プロフ) - めちゃめちゃにきゅんきゅんさせて貰いました🤍最高でした😍 (2022年5月29日 23時) (レス) @page24 id: 67c39a707a (このIDを非表示/違反報告)
miso(プロフ) - UwUさん» すいません、変換できないようになっていたので直しました💦教えて下さってありがとうございます…！！！！ (2022年4月12日 21時) (レス) id: ecadc79423 (このIDを非表示/違反報告)
UwU - 25の松村さんのセリフ「元の名字」ってどういうことでしょうか？？ (2022年4月12日 0時) (レス) @page25 id: aca0757d01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みそ
| 作成日時：2022年1月15日 22時
