みすまっちLv.Max【そらる】

Lv.39 ページ39

「なっ、何言ってるの？彼方君」




私の唇を指でなぞる彼方君から離れようとするが残念ながら私に逃げ場はない。

机の椅子の背もたれに挟まれ、背には窓、前には彼方君がいるのだ。




「そうやって、いきなりあの先輩の好みか知らないけど黒髪に戻しちゃうしさ」



「え」


「ろんから貰ったのは先生がご褒美としてくれたチョコが食べれないって言って貰ったやつなのに勘違いするし」




「え」




「毎日、こっちがドキドキしてるのに顔をまじまじと見つめてくる癖にさ」



彼の言葉にグサグサと胸に何か刺さる



気づけば、彼は私との距離がすごく近かった。



「いきなり、俺のこと諦めたとか…そんなの俺は嫌なんだよね」





ぽかんとしている私をそっちのけにして


彼は少し瞳をうるっとさせてこう言うのだ



「ねぇ、俺にはないの？くれるんじゃなかったの？」





そんなの、あげちゃったよ…



「あげちゃった」



「えぇ…じゃあ、あれ俺のだったのか」


「あれ？」



「昨日廊下に立ってた先輩が食べてたやつ俺のだったんだなあって」



私が走ってその場から逃げた時
天宮先輩は私が無理矢理押し付けるように渡してしまったチョコを食べていたみたいだ。


そもそも向こうが奪うものなのに、私は押し付けてしまったなって少し申し訳なく思う。





「彼方君いらないと思ってあげちゃった」




そう言った瞬間、
おでこをコツンと合わせてきて


「欲しいんだけど。俺」


そんな瞳で見つめられるのも、もう耐えられないけど


すでにこの状況のせいで頭から血が吹き出しそうだ

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