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「はぁっ、はぁ、くそっ」
男は木々の間を息を切らしながら走る。辺りは真っ暗で、唯一の光源は空に浮かぶ月明かりのみ。枝で肌が切れ草や土で汚れようとも男はその足を止めることは無かった。
(なんで、何故バレた？いつ、何処で？幹部との接触は他と同じくらいだった。ボロも出していない。なのに何故……！)
(──なぜ俺は追われてるんだ！？)
只々我武者羅に走り続ける男は気付きもしない。自分の進んでいる道が、母国とは正反対であり、その先には下を見通せない高さの崖があることを。
自分がガサガサと草木を押し分ける音以外にはなんの気配も音もない。しかし男は知っていた。
パンっ
「──ぁ」
突然の発砲音。それと同じくして男が倒れる。膝に力が入らない。ジンジンと火傷したかのように熱い膝を手で抑えると、ぬるりとした感触が手に伝わる。『撃たれた』そう認識した途端、激痛が走った。
「うっ、あ"ぁ……ぐっうぅ」
「ふぅ〜、君足速いわぁ」
悶えている男に近付くのは、男を撃ったであろう銃を握り、口には煙草を咥えたこの国の幹部＿＿鬱だった。
真面な光源のないこの暗闇の中、遮蔽物しかない森の中で的確に男の膝を撃ち抜きかつ気配も殺気も感じ取らせない。草臥れた格好をしているが、それでもこの国の幹部に相応しい手腕であった。
「ちょっともうそんな睨まんといてやぁ。怖いなあ」
「何で……何故俺がスパイだと分かった！？はぁ、くっそ……お前みたいな、お前みたいな屑に！」
「罵倒するか質問するかどっちかにしてぇや。というか、バレてないとでも思っとったん？ワロスワロス」
這ってでも逃げようとする男の目の前にしゃがみこんで、ついでと言わんばかりに両肩を撃ち抜く。そこから次々身体に鉛玉を撃ち込む。いくら悲鳴をあげようと、それを聞く者はこの場では鬱ただ一人だった。
「知っとるか？今の世の中には銃の重みも知らん子がおるんや。いい国になったもんやろ？昔じゃ考えられんかったのに」
「だからさ、要らんねん。お前みたいな存在は」
「や、やめ──」
バンッ
血に塗れた死体を一瞥して、懐からワインを取りだしそれを死体にかける。空になったボトルは投げ捨てくるりと踵を返した。
「あ、ロボロ？ゴミ掃除終わったで」
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とうふ(プロフ) - 白猫さん» ありがとうございます！ノロマな更新ですが、これからも応援よろしくお願いします (2020年4月17日 19時) (
レス) id: df35f93799 (このIDを非表示/違反報告)
白猫 - 面白くて一気に読んでしまいました！笑 とても面白く想像しやすかったので、楽しく読めました！ 更新頑張ってください。応援してます！ (2020年4月17日 7時) (レス) id: 324236a98a (このIDを非表示/違反報告)
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