chapter3 白と鉛 ページ13
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「今日はエーミールの授業じゃなくて他の奴のを受けてもらう」
「詳しい事は行ってからのお楽しみだ」
A城に来てから三日目。朝食を済ませると、ルミルから総統執務室へ行くように言われ、彼女の先導のもと執務室へと向かう。そこで説明されたのはとても簡易的なもので、最後に「それじゃ頑張れよ」とだけ言って彼は仕事に戻った。
A疑問符を浮かべたまま又もやルミルの後ろをついて行くと、着いたそこは射撃場だった。中央付近にある椅子に座りながら煙草を吸っていたのは、草臥れたスーツ姿の鬱だった。
「やっほ〜エルリカちゃん。こうやって真面に話すの久しぶりだね。元気してた?」
「はい。皆様のお陰でとても穏やかに暮らせています。所で、鬱様は目の隈がまた濃くなっていますが……」
「あぁ大丈夫大丈夫。これがデフォだから」
Aベンチに座る鬱に近付くと、ヒラヒラと手を振りながら煙草の火を消した。「それじゃ始めよっか」と軽いノリで手元にあった銃をクルクルと指で回し歩き出した。何の説明もないまま始めようとする鬱を止めて、何をするのかと聞いた。
「んー?何って、射撃訓練」
「私も武力を身につけろ、という事でしょうか」
「まあ多分そうやない?知らんけど。と言ってもいきなり撃たす訳やないで。まずは君が使う銃の選別からや」
A射撃場の向かって左端の壁。そこに鬱は手を翳すと、縦長の四角の形に切り取られたように壁の一部分が開いた。中には数え切れない位の銃やナイフに果てには小型爆弾まであった。武器庫とはまた違った訓練用の武器保管庫のようだ。
「今回エルリカちゃんには銃の実践で使える知識と俺の経験則を話せって言われたんやけど」
「もっと大人な話をしようか」
A鈍く光を反射する銃を片手に、濃紺の瞳が妖しく光った。
「銃って撃ったことある?」
「いいえ。触った事はありますが、
撃った事は一度も……」
「ふ〜んグルちゃんなら撃たせてそうだけど」
「叔父様ではなくお父様が……」
「あぁ〜……ダールベルク公爵は家族愛の強い人で有名だからなぁ」
「あと喋り方。もっと楽でええよ。仲良くしようや」
「分かりましたわ!」
「ふ、それが素の口調なん?可愛ええなぁ」
「もう!」
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とうふ(プロフ) - 白猫さん» ありがとうございます!ノロマな更新ですが、これからも応援よろしくお願いします (2020年4月17日 19時) (レス) id: df35f93799 (このIDを非表示/違反報告)
白猫 - 面白くて一気に読んでしまいました!笑 とても面白く想像しやすかったので、楽しく読めました! 更新頑張ってください。応援してます! (2020年4月17日 7時) (レス) id: 324236a98a (このIDを非表示/違反報告)
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