chapter1 可愛い子には旅をさせよ ページ2
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あ高さ5mはありそうな格子状の鉄門の前で、一人の少女と二人の男が立っていた。少女はキラキラと目を輝かせながら、目の前に立つ執事の格好をした男の話を聞いている。その二歩後ろで、黒塗りのセドリックに凭れている金髪の男は、その光景を苦笑しながら眺めていた。
「あぁ、それと……いいですかお嬢様。今までしてきた事を怠らぬよう、ダールベルク家次期当主としての＿」
「分かってるわじいや。昨日も一昨日も聞いたわよその話」
「申し訳ございませんお嬢様。しかしじいやは心配で仕方ないのです」
「心配してくれるのは有難いけれど、私は次期当主なのだから、取るべき行動くらいは心得てるつもりよ」
「お嬢様……」
Ａじいやと呼ばれた初老の燕尾服を着た男は、感涙したように口元を覆った。その間ずっと眺めていたもう1人の若い男が、セドリックから背を起こし少女の肩に後ろから左手を置いた。
「もういいだろうじいや。過保護も過ぎると嫌われるぞ」
「それはいけませんな」
Ａ鷹揚な態度でにこやかに笑うと、ピンと伸ばされた背中をさらに伸ばし、胸に右手を当て、その洗練された動きで少女に頭を下げた。
「いってらっしゃいませ、エルリカお嬢様」
「いってきます」
Ａ＿お父様達や私がいない間、この屋敷をよろしくね。＿
Ａ初老の男は、煙を吹き上げて走っていく車を見続けながら、あの少女が去り際に言った言葉を思い出す。お転婆で、何処か抜けてるところがある可愛らしい女の子。普段のそんな姿とは掛け離れた、貴族の令嬢らしい笑みを浮かべたあの少女。
「奥様。お嬢様は昔の貴女によく似ていらっしゃる。じいやは将来が楽しみです」
Ａ顔にゆるやかな笑みを携えて、男は踵を返し鉄門の中へと入っていった。
「そう言えば、旦那様がよく許しましたね」
《だってあの人には言ってないもの。
絶対許してくれないでしょう?》
「……そんな行動を取れるのは奥様くらいでしょうね」
＿＿＿＿
小噺
じいやの名前はリトー。先代の頃から主人の専属執事として働いている大ベテラン。御歳78歳だか未だ現役。
白髪が素敵なダンディーなおじ様。
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とうふ(プロフ) - 白猫さん» ありがとうございます！ノロマな更新ですが、これからも応援よろしくお願いします (2020年4月17日 19時) (
レス) id: df35f93799 (このIDを非表示/違反報告)
白猫 - 面白くて一気に読んでしまいました！笑 とても面白く想像しやすかったので、楽しく読めました！ 更新頑張ってください。応援してます！ (2020年4月17日 7時) (レス) id: 324236a98a (このIDを非表示/違反報告)
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