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シャオロンが二人を連れて会議室を出た後、トントンとグルッペンはぴたりと言い争いを止めた。笑いながら野次を飛ばしていた周りの幹部達も、先程の緩い雰囲気は消え去り、賑やかだった部屋が一転静まり返った。


「で、あれがダールベルク家の跡取り?随分とか弱そうだったけど」
「それに、パッと見た限りじゃ世間知らずっぽいしなぁ」


あの柔和な笑顔を浮かべていたしんぺい神が、冷然とした口調で話す。それに後付けするように、ロボロは頬杖を着きながら言った。それは決して悪口でも理不尽な批判でもない。彼らが少女に下した”当主の素質”の有無に対する評価だった。


「ただ、あの他人を惹き付ける雰囲気と話し方はグルッペンそっくりやったな」


擁護する訳では無いが、プラスな点をあげるならそれだと言うようにゾムは話す。
少女は貴族としての礼節は素晴らしいが、次期当主にしては知らない事が多過ぎる。しかし伸び代は十二分にある、それが彼らが話してつけた評価だった。
グルッペンは彼らが話し終える間静かに伏せていた目を上げて手を組んだ。


「エルリカは優秀だが、まだ当主になるには足らない部分が多い。それを満たす為に助力するのが俺たちの役割だ」
「だが一つ致命的な欠点がある。親、特に父親が過保護でな。今まで社交界にすら出ていないんだ。だから屋敷以外の人間と真面に話した事がない」

「それを見兼ねた母親が、俺らの所へ預けたんだ。通例の2年も早くな」


ビア王国を支えるダールベルク家は代々、次期当主候補の者が14歳になると、グルーミー城に2〜3年ほど預ける事になっている。だが、グルッペンが言うように少女は異例の12歳で且つ1年だけ。それだけ少女が優秀であるという証でもあった。
小さな体で背負うには重すぎる期待かもしれない。しかし、少女がダールベルク家の長女として、次期当主候補として生まれたからには仕方の無いことだった。


「いつの世も大人って勝手やわ」
「なあ、そう思うやろ、グルちゃん」
夜は言ふ
水があり過ぎて白百合が枯れてしまう、と
「……分かってる」
それでも彼は止める訳にはいかない
この国の王であるから


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chapter2 紙とペンを持ちなさい→←○



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とうふ(プロフ) - 白猫さん» ありがとうございます!ノロマな更新ですが、これからも応援よろしくお願いします (2020年4月17日 19時) (レス) id: df35f93799 (このIDを非表示/違反報告)
白猫 - 面白くて一気に読んでしまいました!笑 とても面白く想像しやすかったので、楽しく読めました! 更新頑張ってください。応援してます! (2020年4月17日 7時) (レス) id: 324236a98a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:とうふ | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2019年11月16日 0時

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