B2-1 ページ7
嗅ぎなれた血の臭いが立ち込める。
Aは止まってしまいそうなほど鳴り響く心臓を抑え、エレベーターからショッピを運び出した。
見慣れた教会のような重厚な雰囲気のフロアで、Aは泣きそうな顔でショッピを見つめた。
やっと、やっとB2に上がってこられた。それなのにどうしてこんなことになるんだろう。
「ショッピ、ついたよ……ショッピ」
しかし、ショッピは壁に力なくもたれているだけで、返事をしない。B3の出来事があってから、ショッピは満身創痍だった。何が起こってもおかしくない。
わかっていたはずなのに。
(ショッピ、嫌だ……こんなの、嫌だ……！)
ギュッと拳を握りしめ、Aは廊下の奥を睨みつける。
この先に、Aの見知った人物がいる。頼めばショッピを助けてくれるかもしれない。もちろん、その確率は低い。かなり危険な賭けだ。
それでも一か八か、賭けてみるしかない。
「ショッピ、少し待ってて」
生死をさまよっているショッピを置いていくのは不安だ。怖くないといえば嘘になる。
でも、今のショッピを連れて歩けるほど、Aは強くない。体の限界が来ていることも、ひしひしと感じていた。
Aは一度だけショッピを振り返り、次の部屋へ続くドアを開けた。
△▼
目を開けると、ショッピは静まり返った冷たいフロアで一人、座り込んでいた。体の痛みは消え、撃たれた場所も包帯が巻かれている。
ショッピはふらふらと立ち上がり、エレベーターを振り返る。エレベーターの壁には、赤いペンキで『B2』と記されている。
「あがってこれたんや……A？」
辺りを見渡すも、Aの姿はどこにもない。ただ、床に敷かれたレッドカーペットに、何かを引きずったような跡が、次の部屋まで続いていた。
(Aになにかあったんや……)
ショッピはヘルメットをかぶり直し、手袋もはめ直した。鞄を背負い、一度深呼吸をする。
この先に何があるか分からない。フロアも、今までの雰囲気と違う。重厚な城の中に迷い込んだような感覚に陥る。武器も何もない今、進めば間違いなく危険だ。最悪死ぬことも考えられた。
それでも、先に進むしかない。
「少し待っとてな、A」
祈るようにそう呟いて、ショッピは次の部屋に続くドアを開けた。
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うわばみ��(プロフ) - 咲夜（さくや）さん» コメントありがとうございます！不定期かつ気まぐれ更新ですので気長に待っていて頂けたら嬉しいです。 (9月3日 20時) (
レス) id: ab7bcef119 (このIDを非表示/違反報告)
咲夜（さくや）(プロフ) - 続き楽しみにしています。更新頑張ってください (8月31日 21時) (レス) id: f2b60f62ba (このIDを非表示/違反報告)
うわばみ��(プロフ) - ルキさん» コメントありがとうございます！いつも更新が遅いですが完結させるつもりですので、気長に待って頂けたら嬉しいです。 (2022年12月7日 10時) (レス) id: 08a0a12774 (このIDを非表示/違反報告)
ルキ - いつも拝見させて頂いております。すごく面白くてお気に入りの小説です。次の更新も楽しみにしています！ (2022年11月29日 18時) (レス) @page23 id: 7b284a32ed (このIDを非表示/違反報告)
うわばみ��(プロフ) - こめつぶさん» コメントありがとうございます！完結できるよう頑張ります！ (2022年2月6日 11時) (レス) id: 2061b1d98e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うわばみ�� | 作成日時：2020年12月19日 16時
