放心 ページ14
「………すご、かった」
腰抜けた。いや実際には抜けてねぇけど。
いつもクソふざけた野郎共が楽器ガンガン鳴らして。
真面目にマイクの前に立って、腹から声出して歌って。
いつぞやのカラオケとは全然違う。
マジのやつだった。
あいつらがハケた後もアンコールは途切れなくて、終了のアナウンスが流れても残ってる人もまだ居て。
そんな中、アタシは椅子に座り込んでて。
足が全く動かない。
筋肉にビリビリと電気が走ってるみたいで、力が入らねぇ。
少し、ほんっとに、ほんっっっっっっっとに、ミリ単位だけど、
奴らのことを見直した。
…………かも。
「……戻ろう」
まだ震える脚に叱咤して、アンコールの声が続くホールを抜けた。
壁に寄りかかると、小さく息が漏れた。
「……反則」
いっつもおちゃらけてるくせに、ああいうときだけ真剣な顔すんなよ。
どういう顔したらいいんだ、こっちは。
「あ゛ぁー……」
成程。奴らにハマる人間がいる理由が、何となくわかった気がする。
「あ、いたいた!!」
「おう、アズ」
「凄かったでしょー!! 去年よりももっと凄かった!! マジギャップ!!」
「……だな」
「ちょっと、元気ないじゃん。どうかした？」
「いや……筋肉が疲弊してる」
「え？」
マイクを通した圧倒的な衝撃波。
当てられたスポットライトに照らされる、力強い存在感。
あんなの、いつも引っ付いてた奴らじゃねぇ。
あんな顔見せんなよ。
「もしかして……ちょっとときめいちゃったり？」
「ねぇな」
「え〜!! ちょっと顔赤いのに」
「え゛っ、」
「うっそぴょーん♡」
「………」
「ごめんって、そんな冷たい目しないでってば」
「……お前、しばらく出禁な」
「やだやだやだ!! ごめん!! ごめんってばー!!」
誰がときめくか。
どこの少女漫画だよ。
たかだかバンドやってるくらいで惚れるとかねぇから。
そんなにコロッとやられる調子のいい女じゃねぇからアタシ。
「さっさと片付け行くぞ」
「えー、まだ戻りたくなーい。
ねぇ、横山たちの出待ちしない？」
「一人で行ってろ」
「やだ。Aも一緒がいい!!」
「我儘娘が」
「家庭科室にクーラーボックスあったでしょ？
それに飲み物入れたら絶対喜ぶって!!」
「……やれと」
「だって机より重たいもの持ちたくないもん」
「沸いた頭クーラーボックスに突っ込んでやろうか？」
「こわーい」
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朱雀(プロフ) - 黒裂 蓮弥さん» 初めまして、コメントありがとうございます！ 先が長〜い作品ですが、ぽつぽつと続けていこうと思います。よろしくお願いします！ (2021年3月13日 0時) (
レス) id: cb7433c6bb (このIDを非表示/違反報告)
黒裂 蓮弥(プロフ) - 初めまして！朱雀さんの作品大好きでずっと読ませていただいてます！主人公の性格とかものすごく好きです！これからも頑張ってください！応援してます！ (2021年3月12日 22時) (レス) id: d8af9c268d (このIDを非表示/違反報告)
朱雀(プロフ) - サーさんさん» 嬉しい！！コメントありがとうございます。更新は亀より遅いですが、気長に待ってくださると有難いなあ…ファンであると仰ってくれて、本当に嬉しい限りです！ (2020年5月4日 9時) (レス) id: cb7433c6bb (このIDを非表示/違反報告)
サーさん(プロフ) - 朱雀さん、はじめまして！いつも楽しく拝見させていただいてます！想麻ちゃんと8人の絡みが面白くてつい笑ってしまいます！更新頑張ってください！私はいつまでも朱雀さんのファンです！ (2020年5月4日 0時) (レス) id: 2aa0ad98f1 (このIDを非表示/違反報告)
朱雀(プロフ) - おーくらとオクラさん» ライブの歌唱シーンを文字で表現するのは難しいですね……コメントありがとうございます！ (2020年2月20日 13時) (レス) id: cb7433c6bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：朱雀 | 作者ホームページ：
作成日時：2019年9月22日 8時
