アタシが苦手な野郎共 【∞】拾ノ壱

アタシは荷物持ち係じゃねぇよ ページ15

一旦クラスに戻ったら、店は16時まで続けるとのことで従業員減らして回してた。

手伝うことはあるかと聞いたら、向こうのバンドに差し入れ持って行ってやってくれと用意されたクーラーボックス押し付けられた。

謀ったな。


「……多くね？」

「これでも減らしたんだよ。あと、塩飴とはちみつレモンと塩麹ね」

「おい待て。なんで最後調味料そのまんま入れた」

「汗かいたら塩分必要でしょ？」

「塩分過多って言葉知らねぇのか」


つーかこれどっから出した。

やたらぎっしり詰まっている塩麹は突っ返した。

ちぇ、じゃねえわ。


＿＿＿＿＿ズンッ


「おっも!!」

「じゃっ、よろしく!!」

「ふざっけんなこれ肩外れんぞ!! 委員長てめぇこれ持ってみろ!!」

「あ、俺呼ばれてるから。頼むわ」

「てめーの頭に砲丸投げしてやろうか」


逃げ足の速いやつめ。

さすがのアタシでもこれはキツい。

いやマジ、ふざけんな。


「お……っ、も…」

「ガンバ♡」

「ざっけんなこれ持ってみろアズ!!」

「えー、机以上重たいもの持ちたくないんだよねー」

「あ、ちょうどいいところに的が」

「やだやだ持つ! 片っぽ持つから!!」

「誰もお前の頭とか名指ししてねえけどな？」


最初からこうしてくれりゃいいんだよ。

なんで一番走り回ってるアタシがこれ持たなきゃならねぇんだ馬鹿野郎。


「で、どこで待ってろって？」

「んとね、体育館の裏口。そこから出てくるんだってー」

「ちなみに、それ誰からの情報だ？」

「翔に決まってるじゃーん♡ さっき教えてくれたんだぁ♪」

「んで、その結果がアレか」

「へ？」


体育館の裏口にわんさかいる女子の大群。

ありゃどっかからか情報漏れたな。

そもそも生徒会の機密事項は秘匿みたいで秘匿じゃねぇんだよ。

必ず綻びが生じて、生徒会しか知らないことがこっちにまで流れてくるなんてザラにある。

公然の秘密っていうの？


「ヤダ!! なんでぇ！？」

「実行委員がぽろっと言っちまったんじゃねーの」

「んもー!! しかも何あれ!! 他校の女子までいるし!!」

「中学んときの同級生とかじゃねぇの」

「ていうか見たらそんなに可愛くないし……ファンデ汗で流れてベージュになってるんだけど。しかも何あの真っ黒な目。一昔前のギャルみたい」

「オイ、あんま言うな。聞こえっから」


ほら、案の定睨まれたじゃねえか。

その中でも特に目立つのが、金髪で目ぇ真っ黒に塗りつぶされてる人。

しかも、よく見たら西高の制服……

アズVS西高女子→←放心

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