団子屋で昨日の思い出話を ページ22
「まあ、そんな感じで今まで送金した分はまるまる補填されまして。
家具も無事に叔母さんたちが引き取ってくれました。わざわざトラックまで借りて」
「つーか、久しぶりに冬一兄ちゃん見たけど誰か分かんなかったよな」
「うん!! 確かに。私も言われなきゃ分かんなかったや」
「トーイチって誰アルか?」
「雪慈兄ちゃんの兄貴だよ。元攘夷志士っていう」
「えっ、生きてたんですか!?」
「叔母と幕府との交渉で、つい最近出所したんです。今は観察保護っていう名目で実家にいるみたいで」
場所は姉の職場。といっても『スナックお登勢』ではない。
針子としてはたらく雑貨屋。その真向かいにある団子屋にて、大前姉弟と万事屋一行が並んでいた。総勢9人と一匹では縁台からあぶれてしまうため、沙代と美菜は兄と姉の膝を借りている。それでも7人なのでかなり詰めてはいるが。もう一台借りるという手はなかった。先客がいたもので。
早朝に駿河から帰宅した姉は仮眠を摂った後に雑貨屋に赴き、昼間まで寝ていた弟妹たちは恒道館に遊びに来ていた神楽に起こされた。起こされなかったら夕方まで寝ていたかもしれない。
遊ぶついでに姉の職場を見てみたいという次女の要望により、休憩時間を狙って雑貨屋に足を運んだ。子どもたちだけでもよかったが、なんとなく保護者もついてきた。本当になんとなく。
妹たちが店先に並んだ品々に目を奪われているところ、休憩に入った姉が一同を見つけて団子屋に誘った。そこで、昨日はどんな感じだったのかと新八が世間話程度に尋ね、弟妹らの怒髪天を衝く勢いの怒りや叔母夫婦との久々の対面などを聞かされたわけである。美菜の慰謝料に関してはどう書類を書いたのか聞けば、真選組の事務方に雛形を教えてもらったとのこと。8歳に何を教えてるんだ。
「じがきれいって、ほめてもらえたの」
「そっかあ。ところで慰謝料なんて言葉、どこで覚えたの?」
「おたえさん」
「姉上………」
まさかの身内だった。確かに、常日頃ストーカー行為に悩まされている(?)姉ならば、慰謝料だ迷惑料だなんだと口にする回数が多いが、まさか他所様の子どもが覚えてしまうとは。
しかも、正しい意味を理解しているものだから厄介だ。したためた書類は、一旦姉預かりとなったらしい。賢明な判断だ。
「幕府との交渉って、叔母さん何者よ? それなりのコネとかある人?」
「叔母さん、幕府の顧問弁護士なんです」
「マジでか!?」
知ってる肩書き、知らぬ関係→←下取りって未だに仕組みが分からない
837人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ワッフル魔神(プロフ) - 更新待ってました!これからも応援しています!更新頑張ってください‼️ (4月2日 20時) (レス) id: 144fda3ce7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2024年3月27日 8時