契約金は念書に記すべし ページ17
山崎がある程度報告を終えて、じゃあこれでと立ち去ろうとすると、銀時の声がかかる。
「んで、報酬は?」
「は?」
「いやいや、は? じゃなくてよ。ストーカーとっ捕まえたの俺たちだぜ? それなりのギャラがあってもおかしくねぇんじゃねぇの?」
「そうアル!! どうせなら酢昆布5年分寄越せよ税金ドロボー!!!」
「銀さん!! 神楽ちゃんも、やめてくださいよ。捕まえられたのは、山崎さんやさっちゃんさんの情報があってのことでしょ? むしろ、僕らがお礼しなきゃならないくらいなのに……」
「ああ……なら、勘定方に掛け合ってみます。それこそ、自分への濡れ衣を晴らしてくれたとあっちゃ、色つけてもらえるかもしれません」
「マジでか!! いやー、なんか悪ィなぁ」
「報酬ねだっておいてよく言うよ……
すみません山崎さん、このバカの言うことは聞かなかったことに」
「おいコラ誰がバカだ参謀気取りの駄眼鏡が」
「そうアル。眼鏡かけてるからってお前はいつまで経っても新八なんだヨ。新一にはなれねーんだヨ」
「1言ったら100返ってくるのやめてくださいよ!! あと僕は永劫新八だから!!」
大変だねと苦笑いしつつ、監察が万事屋の敷居を後にする。残ったのは、依頼人だけだ。
さて依頼料はと新八が電卓を叩く。基本料金と依頼期間を諸々計算してざっとこのくらいかな、と割り出す。金にならない依頼が多い万事屋だが、今回は収入が望めそうだ。
当初に提示していた金額とそう変わらず、それではと切り出したところで気づいた。
依頼人の、銀時を見る目に。
ぽやんと熱に浮かされ、神楽と一緒に新八をイジる銀時にしか視線が向いていない。
もしやこれは、とかつての惨状を思い出して冷や汗が垂れる。
いつぞやか同じような依頼があったとき。木刀を振り回して自らを守る銀時に依頼人が惚れ込み、依頼料を踏み倒される事態が起きた。そんなことより恋人になってとねだり、そちらの方の鎮火に気を取られていたせいか依頼料が払われないまま有耶無耶になったのだ。元々それが狙いだったのか、銀時に本気に恋人になって欲しいがあまり忘れていたのか分からない。結局、実にならない依頼だったと鼻をほじる銀時にてめえのせいだと子どもたちでタコ殴りにしたものだ。
今、その事態と酷似した状況が訪れようとしているのではないか。細い喉仏を汗が伝う。
「え、ええと。依頼料は当初と同じ金額です。前金は頂いていないので、全額ですね。どうぞ、確認をお願いします」
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ワッフル魔神(プロフ) - 更新待ってました!これからも応援しています!更新頑張ってください‼️ (4月2日 20時) (レス) id: 144fda3ce7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2024年3月27日 8時