恋と執着は紙一重 ページ15
「ここのところ、ずっと変な奴らがいただろう。居なくなってよかった」
「お、大貞兼さん……あの、もうこのようなことは…」
「何を言ってるんだ。僕は君を守りたいだけなんだ。あの変な銀髪の男もいなくなったようだし、2人で話を……」
「ひっ!! いや、来ないでください!!」
「何もしてないじゃァないか。それともなんだい、そうやって怖がって、僕の気を引きたいのかい」
「やだ、やだ来ないで!!」
「そんな怖い顔をしないでおくれよ。またあの時みたく話そうじゃないか」
じり、じりとふたりの爪先が距離を縮める。銀時は本当に厠に行ったのか、出てくる様子がない。新八と神楽は仕方ないと、建物の影から飛び出した。通行人がなんだなんだと瞠るも、気にすることなく下世話な笑みを浮かべる男の背後を取った。
それに気にする様子もなく、とうとう男の手が触れそうになる。どうにか避けようと逃げるも、辺りは裏路地への通路がほぼ無い。どうしたものかと冷や汗が胸元をつたう。
やだ、助けて。
万事屋さん_____
「あ、ちょっといーっすかァ」
「あん?」
びゅっ、
と。木刀の切っ先が男の額を狙う。銀さん、銀ちゃん!! と子どもたちの安堵に口元を緩ませる。
間に合った。どちらの意味でも。急いで来たものだから手は洗っていない。いつものことだが。
「オッサンよぉ、若ぇオネーチャン付け回して恥ずかしくねぇのか? 傍から見りゃ完全にストーカーだぜ?」
「な、なっ、なんだお前は!! わ、私を誰だと思って」
「人に名前を聞くときは自分から名乗れって習わなかったんですかコノヤロー。誰がテメェみてーな三文役者に名乗るかよ」
「あっ……!? な、何を」
「キャバ嬢の営業トーク真に受けて惚れたか? 大体、キャバ嬢のトークなんざ9割ウソに決まってんだろ。客を盛り上げるためのヨイショな話術に引っかかるなんざ、アンタもまだまだだな」
「ぶ、無礼な!! 私に無礼な真似は許さんぞ!!」
「いやいや、許されねーのはアンタだろうが。弟の名前借りて好き勝手やって、罰せられるのはどっちかねぇ」
「は………」
「いいか、テメーが誰に惚れた腫れたなんざ知ったこっちゃねぇ。だがな、惚れた女が顔見て脅えるような男なんざ誰からも願い下げだ。嘘で塗り固められたテメーのアプローチなんざ、受け取りたかねぇだろうよ」
知られていた。
この男は、女は。自分の全てを知っていた。
隠しきれていないボロを掴まれ、幕臣を騙る男は膝をついた。
事の顛末は簡潔に→←依頼はあくまでも依頼であるけれど、この心はまた別物
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ワッフル魔神(プロフ) - 更新待ってました!これからも応援しています!更新頑張ってください‼️ (4月2日 20時) (レス) id: 144fda3ce7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2024年3月27日 8時