スポーツドリンクを作ってくれるマネージャーってなんか憧れる ページ9
途中、奇襲はあったものの万事屋江戸観光はその後も続いた。
江戸城付近や偉そうな官僚がいそうな場所は避け、主に銀時の行動範囲や新八のアイドル集会場所、神楽が子どもたちと遊ぶ公園などを散策した。
定春の歩くスピードが落ちてきた辺りで、一旦休憩しようと公園のベンチに腰掛ける。男どもは中身のない会話はあまり得意ではなかったが、あれは何かこれは何なのかと聞かれ、逐一説明したりエピソードを添えたりと普段以上に声帯を酷似した。
それを分かっていたのだろうAは、何か自販機で買ってきますと財布を預かりその場を離れた。ちゃんとリクエストも忘れずに。
「あー……俺もうダメだわ。疲れた。そこの飲み屋行っていい?」
「何言ってんスか、まだ日が高いっていうのに」
「いやもう無理だわ。若いとか抜かしてすんませんでした。水分補給したい、酒飲みたい」
「今Aさんが買ってきてくれてるでしょう? わざわざ行ってくれたのに、勿体ないじゃないですか」
「自販機にビール売ってるのは大体ホテルなんだよ。薄暗ぁーい給湯室みてーなとこにあるバカ高ぇ自販機にしか生息してねーんだよ、ビールは」
「ビールをスライムかなんかと思ってんですかアンタ」
「あーでもなぁ、こないだ血糖値高ぇって医者に言われたしなァ。 もう好きに生きるって決めてんだけど、ババアより先に三途の川渡るのは嫌だわ。百鬼夜行みてーな葬式開かれたくねーわ」
「いや失礼過ぎんだろ!! お登勢さんなんだと思ってんだ!!」
「いや、実名出してる分お前の方が失礼だから」
まだ日照りが強い公園ではエネルギーの消費が激しい。普段の言い争いでさえ疲れやすくなるのだ。そこに、スポーツドリンクを抱えて戻ってきたAは、天使までとはいかないまでも泥臭い野球部のマネージャーくらいには輝いて見えた。
いちご牛乳無かったので、と代わりの炭酸を購入してくれる辺り、銀時の好みを把握している。自販機の炭酸は意外と財布に響くのだ。
「すみません、買いに行かせてしまって。ありがとうございます」
「いえ、せっかく観光してくれてるんですから。お礼と言ってはなんですけど……」
「そーよ、金出せばもっとすんげぇとこ連れてくってのによぉ。知り合い価格(割増)で」
「あの銀さん、カッコの中がおかしいんですけど。おかしいな、割増って見えたんだけど」
「金持ってる奴はふんだくれって万事屋の家訓だろ。忘れたか新八ィ」
「アンタに良心ってものは無いのか」
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ゆき - 面白いっす (2021年5月6日 20時) (レス) id: c80af731ce (このIDを非表示/違反報告)
??ただのアニメ好き★(プロフ) - お話とても素敵で楽しくて銀魂って感じ(?)がします!密かに応援しています!頑張ってください!面白可笑しく時には切なく読ませて頂いてます! (2021年4月29日 9時) (レス) id: 07e5d6fa1a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:pillow | 作者ホームページ:
作成日時:2021年4月19日 13時