スナックお登勢の厨房担当さん【坂田銀時】

当たり屋には賠償請求を ページ7

駿河あるあるを肴にパフェを食べ進め、腹を満たす対価として財布の中身が家出した。

さてどこへ行こうか、と繰り出していると何やら奇声が突進してきた。猪の如く土埃を残して突っ込んでくる弾丸は、ひらりと避けられる。

咄嗟に肩を抱かれたAは引き寄せた逞しい腕ではなく、言い知れぬ野獣に驚き心臓が暴れていた。

ちなみに、新八は定春に乗りかかり振り落とされていた。眼鏡は無事だ。


「なんだよ、こんな町のど真ん中で闘牛ショーですか？ さっき食われた仲間の復讐にでも来たか」

「牛？ いいえ、違うわ。私はいわばアナタのしもべ……アナタだけのメス豚よ、銀さん!!」

「しもべならちょうどいいや、今週のジャンプ買ってこいやメス豚ァ」

「ええ、もちろん!! だけど銀さん、由々しき問題があるわ。その女は誰！？ どこのメス豚なの！？ そんな抱き寄せちゃって、○○○ワイフのつもり？」

「えっ……え？」

「オイコラ、健全な17歳にナニ聞かせてんだ。どう見ても人間だろうが」

「あのAさんへの被害が凄いんですけど。当たり屋にも程がありますよ、さっちゃんさん」

「あら新八くん、居たのね。相変わらず地味で分からなかったわ。 眼鏡が浮いていると思ったらアナタだったの」

「眼鏡が浮いてるって何？ 本体認識してないってこと？」

「童貞(しんぱち)キャンセラーでもついてんじゃねーの」

「何をキャンセリングしてんだゴルァアアアア!!!」


突進した猪、もとい雌豚、もといさっちゃんこと猿飛あやめは言わずもがな銀時のストーカーである。

本業の殺し屋稼業はどこへやら。銀髪天然パーマを見ると身体が反応しF1カーの如く走り出すのだ。

想い人がどこぞの馬の骨とも知れぬ女と連れ歩いているのだから、脚力が増すのは当然とも言える。

巻き込まれた当の本人は事態の把握で目を回しているが。


「分かってるわ銀さん、そういうプレイなのね？ 私を嫉妬させてそのサマを楽しもうって、そういう魂胆なのね！？ えぇ、この哀れな女を笑うがいいわ!!」

「何も理解してねーよこのアマ。コイツアレ、ババアんとこに入ったバイト」

「え、お登勢さんの？ それはつまり、銀さんと一つ屋根の下ということ！？」

「オイそれだとババアも団地妻もからくり娘も一つ屋根の下じゃねーか。全く嬉しくないハーレムだわ」

「あと、神楽ちゃんも銀さんと住んでますしね」

「なっ……なんてこと…銀さんの貞操が狙われている！？」

「いや被害妄想激しいな!!」

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